5年間プロの夢を追った元独立リーガーが、
教壇で伝えたい大切なこと
「パシーン!」
木製ノックバットの乾いた打球音が球場にこだまし、高々と打球が舞い上がる。鋭いスイングで軽快に試合前の外野ノックを放つ青年の名は松嶋亮太。2011年から5年間、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでプレーをした「元独立リーガー」だ。
5年間独立リーグでプレーした後、教員となった松嶋亮太 2015年シーズン終了をもって現役を引退し、教職の道へ。今春、晴れて採用となり、島根県立出雲工高に赴任。同時に同校の野球部コーチに就任し、指導者として日々奮闘している。
松嶋は現在、楽天の指揮を執る梨田昌孝監督や福岡ソフトバンクホークスの和田毅らが輩出した島根県有数の名門、浜田高で主将を務めた。自身最後の夏は県大会準決勝で梶谷隆幸(現・横浜DeNA)を擁した開星に敗れ、甲子園の夢は叶わなかった。
高校卒業後は国立の大分大に進学。当初は上のレベルで野球を続けることを強く意識していたわけではなかったが、当時所属リーグ屈指の好投手と言われていた別府大の岩尾利弘(元・西武)から本塁打を放ったことが大きな転機となる。後にプロへと進む投手から放った一発は大きな自信となり、「もっと上を目指したい」と独立リーグに進むきっかけとなった。
2011年に徳島インディゴソックス入団。入団初年度の前期、いきなり打率.433のハイアベレージでMVP(前期)を獲得。最終的に2厘差で首位打者には届かなかったものの、年間打率.370を記録した。
2年目にはドラフト指名の可能性を伝える調査書を初めて受領。3年目には自身初のベストナイン(三塁手)を受賞するなど、着実にNPB入りへと近づいていった。
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