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5年間プロの夢を追った元独立リーガーが、
教壇で伝えたい大切なこと (3ページ目)

  • 井上幸太●文・写真 text&photo by Inoue Kota

 もう一度バッティングを見直して臨んだ5年目の2015シーズン。長打力に磨きをかけ、オリックス二軍との交流戦ではほっともっとフィールド神戸のレフトスタンド上段に飛び込む一発を放つなど、懸命なアピールを続けた。

「前期の成績が悪すぎたので、トータルの成績に満足したかと言われると......という感じではあるんですけど、後期、それもシーズン終盤は『これだな』という感覚がつかめて。今までいろんな指導者の方にいただいたアドバイスがつながっていく。点だったものが一本の線になったような感覚でした」

 目標としていたNPB入りは叶わなかったが、追い求めていたバッティングの完成形を垣間見ることができた。そして2014年シーズン終了時には感じられなかった「やりきった気持ち」も抱くことができ、松嶋はユニフォームを脱いだ。

 2013年にプロ・アマ規定が改訂され、NPB出身者をはじめとする"元プロ野球選手"が高校野球の指導に携わることが以前に比べ容易となり、指導者へと転身する元プロ選手が増えている。今年も中村紀洋(元近鉄ほか)が浜松開誠館高校(静岡)の非常勤コーチに就任したことが大きな話題となった。

 そんな中、もうひとつのプロ野球である独立リーグ出身者だからこそ伝えられることは何なのだろうか。松嶋に質問すると、こんな答えが返ってきた。

NPBを目指す中で、『どうしたらあとひとつ壁を乗り越えられるか』を考えて取り組んできました。僕自身、結局、自分に足りないものを見つけきれないまま現役を終えたところはあるんですけど、『まだやれることはないか』とこだわってやってきました。なので、そういった状況で悩んでいる生徒に共感しながら、取り組み方を自分の経験をもとに話ができるのが、独立リーグを経験した人間の強みかなと思っています」

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