彦根東と東筑の甲子園。公立進学校はどんな「野球と勉強」をしたのか (2ページ目)

  • 清水岳志●文 text by Shimizu Takeshi
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 クレバーなプレーもあった。相手のセンター前ヒットで、打者が一塁をオーバーランしたところで、ファーストが前に出て一塁が空いていると見せかけて、キャッチャーがカバーをするトリックプレー。対戦相手の波佐見(長崎)は引っかからなかったが、観衆をうならせるシーンだった。

 彦根東は国宝である彦根城の堀の中に敷地があり、グラウンドは広くない。週に2回ほど、バッティング練習は近隣の室内練習場を借りる。

 練習でのキーワードは集中力。そこに判断力が加わる。それがすべての行動につながっていく。村中監督は言う。

「野球に限ったことではなく、普段の生活の当たり前のことを当たり前にやる。文武両道と言われますけど、自主的にやらなければいけないことを把握して行動する。打てたか、投げられたかは目的ではなく、集中することが練習の目的。そうやって日々の生活をさせている。それは判断の練習です。判断は野球のなかだけではない。日常生活で正しい判断ができるかです」

 こうして人間形成がされていく。

 滋賀県有数の進学校。学校の定期試験が年に5回。実力テスト、校外模試、休み明けテストなどもある。

 赤点だったら、土日など1日練習の日も午前中は勉強をさせる。部で教室を確保するのだという。

 ちなみに、学校全体で昨年度の進学実績は東大1人、京大8人、阪大11人など国公立大に154人の合格者を出した。

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