大阪対決は大阪桐蔭に軍配。
明暗を分けた「ボール1個分の対応力」
明らかに、広かった。
センバツ決勝戦のストライクゾーンのことだ。打者が自信を持って見送った球がストライクと判定された球がいくつかあった。
史上初の大阪決戦を制し、5年ぶり2度目のセンバツ優勝を飾った大阪桐蔭 それを象徴していたのが、1回裏の履正社の攻撃だ。2番の溝邉冬輝がカウント2−2から外角のスライダーを見逃し三振。続く注目のスラッガー・安田尚憲も、3−2から外角のストレートを見送って三振に倒れた。
昨秋の公式戦、50打数でわずか3三振の安田が見切った球。主審・戸塚の手が上がると、一瞬、一塁へ歩きかけた安田は、「えっ!?」という感じで主審をふり返った。この三振が履正社に大きな影響を与えることになる。1つめの見逃し三振を喫した溝邉は言う。
「外が広く感じました。安田は選球眼がいいので、見逃し三振はあまり見ないです。ベンチでは『ストライクゾーンが広いから、いつもよりボール1個分広くしていこう』と言っていました」
そう話し合ったものの、対応するのは簡単ではない。5回に入っても、先頭の竹田祐が3−2から見逃し三振。外角低めのストレートだったが、ボールと判断した竹田はストライクコールにのけぞり、「あれは打てないわ〜」という表情で苦笑い。結局、5回まで無安打に抑えられた。
履正社に初めてチャンスが来たのは6回裏。先頭の西山虎太郎が三塁打を放ち、無死三塁。ここで大阪桐蔭内野陣は後ろに守る。3点のリードがあるため、「1点はどうぞ」という守備隊形だ。だが、ここで1番の石田龍史はカウント2−1からのスライダーをライトへ打ち上げる。浅いフライのため、三塁走者は還れなかった。
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