強肩、強打、好リード。福岡大大濠・古賀悠斗は本物の大会No.1捕手

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

 ここへ来て、捕手の存在が大きくクローズアップされている。

「WBCでの小林誠司さんのプレー、そしてプエルトリコ代表のヤディア・モリーナ選手。レベルはまったく違いますが、同じ捕手として感じる部分は大きいです」

滋賀学園との再試合で通算46本塁打となる一発を放った福岡大大濠の古賀悠斗滋賀学園との再試合で通算46本塁打となる一発を放った福岡大大濠の古賀悠斗 福岡大大濠の捕手・古賀悠斗が語るように、WBCでも捕手による「機を逃さぬ守備」がチームの窮地を何度も救ってきた。

 小林はプロ球界でも指折りの強肩と献身的なリードで侍ジャパンの投手陣を支えた。1次ラウンド豪州戦で一死満塁を併殺で切り抜けた場面でかけたタイムは、今大会のハイライトのひとつとして語り継がれるものとなるだろう。

 また、7試合中5試合で打点を挙げ、4割超の高打率を残しただけでなく、要所での大事な犠打を重ねてチームの流れを生み出すなど、最優秀選手と言っても過言ではない活躍を演じた。

 プエルトリコのモリーナは準決勝オランダ戦の初回、無死一、二塁から二塁走者をピックアップで封殺すると、一死二塁から右前打を放ったジュリクソン・プロファーが帰塁時にボールから目を離した瞬間を見逃さず、これも一塁送球でタッチアウト。

 その後、バレンティンの2ランを許したが、モリーナの状況判断がなければ初回大量失点の可能性すらあった。5回に逆転を阻止した本塁上のクロスプレーでも、巧みな左足の置き方で得点を防いだ。

 これらのプレーを、古賀はテレビで目に焼きつけていた。

 センバツ初戦の創志学園戦、5-2と3点リードの8回に一死満塁のピンチを迎え、一打が出ればいよいよ試合が分からなくなるという局面だった。

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