早実・清宮幸太郎への「内角攻め」は本当に正解なのか?
ほんとうに早稲田実業の1年生スラッガー・清宮幸太郎は、インコース(内角)が「弱点」なのだろうか。
「徹底して内を攻めます」
戦前にそう清宮を挑発したのは、3回戦で早稲田実業と対戦した東海大甲府の村中秀人監督だった。しかし、東海大甲府の投手がインコースを意識しすぎるあまりに、甘く入った変化球を右中間に運ばれ、甲子園第1号を献上してしまう。
3回戦に続き、準々決勝の九州国際大付戦でも本塁打を放った早稲田実業・清宮幸太郎
とにかく、高校生となって4カ月あまりの怪物1年生に対して内角を徹底して攻めるのは、早稲田実業と戦った各チームがとってきた定石である。
自身にとって甲子園4試合目となる準々決勝・九州国際大付属戦でも、やはり清宮は体付近にボールを集められた。第1打席は内角高めのボールに止めたバットが当たり、ピッチャーゴロに終わる。その時、痛みが走った。
「相手の球威に押されて、左手の親指をやられちゃいました。突き指みたいな感じですかね」
凡打のあと、テーピングを巻いてもらいながら「自分の形」を脳裏に描き、「自然体で」4回裏の第2打席に向かった。
「素振りの時に(左手親指が)ちょっと痛かったんですけど、そこはアドレナリンで(笑)。打席に入ったら忘れていました」
その初球。真ん中気味に入ってきた130キロのストレートを、腕を畳んではじき返し、打球はライナーでライトスタンドへ飛び込む。東海大甲府戦に続く本塁打であり、1年生打者が甲子園で2本の本塁打を放つのは桑田真澄以来のこと。清原和博も松井秀喜も達成できなかったことだ。
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