桐光学園・松井裕樹は最激戦区・神奈川を勝ち抜けるか?

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

2年連続甲子園出場を狙う桐光学園のエース・松井裕樹2年連続甲子園出場を狙う桐光学園のエース・松井裕樹 大会前から桐光学園・松井裕樹を取り巻く喧騒ぶりといったらなかった。とりわけ6月の最終週と7月の第1週には、全国制覇3度の報徳学園や今春のセンバツ王者の浦和学院といった強豪校との練習試合が続いたため、日米のスカウト陣が集結し、報道陣、高校野球ファンによる人垣ができていた。桐光学園グラウンド近くの路上に車を停める者が続出し、近隣住人の通報を受けてパトカーが出動する事態も起こった。

 昨年の藤浪晋太郎(大阪桐蔭/現・阪神)や大谷翔平(花巻東/現・日本ハム)、あるいは夏の甲子園3連覇に挑んだ2006年の田中将大(駒大苫小牧/現・楽天)と比べても、まだ甲子園出場が決まっていない選手が集める注目度としては、おそらく松井が勝っているだろう。今秋のドラフト1位指名が確実視されている投手であることに加え、昨年夏の甲子園1回戦で今治西を相手に記録した22奪三振が今も強烈なインパクトを残している。

 昨年夏の甲子園期間中に松井をインタビューした際、三振を奪う秘訣を問うと、彼はこう答えていた。

「ストレートと変化球を同じ腕の振りで投げることですね。手元にくるまで球種がわからないので、打者は困惑し、ボール球であってもつい手が出てしまうと思うんです。でも、別に三振ばかりを狙っているわけではありません。打たせて取りたい場面では、スライダーの球速を5キロぐらい落として110キロ台後半で勝負しています」

 すでにその投球術、考え方は、高校球児の域を超えているといっても過言ではなかった。

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