【高校野球】4試合68奪三振。
桐光学園・松井裕樹はなぜ三振を奪えるのか?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

初戦の今治西戦では大会記録となる22個の三振を奪った桐光学園の2年生エース・松井裕樹初戦の今治西戦では大会記録となる22個の三振を奪った桐光学園の2年生エース・松井裕樹 報道陣に囲まれると174センチの上背はすぐに埋もれてしまう。チームメイトが「普段はどこにいてもわかるくらい大きい」という声も、取材時はかなり控えめ。その姿に次々と大記録を打ち立てた"怪物"のイメージは重なってこない。

 ただ、甲子園新記録となる22三振を奪った今治西戦後のお立ち台で、「ちょっと多いなとは思いましたけど、(三振は)数えていなかったので......」と顔色ひとつ変えず答えた姿に、泰然とした強さが伝わってくる。

 桐光学園の2年生エース・松井裕樹――準々決勝で光星学院に敗れはしたが、4試合連続2ケタ奪三振を記録し、奪った三振は歴代3位となる68個。さらに2試合連続毎回奪三振(史上5人目)、10者連続三振(史上初)など、この夏の主役は間違いなく松井だった。

「噂では聞いていたが、ここまですごいとは......」

 歴史の証言者となったファンも、対戦した相手チームも、ネット裏に陣取ったスカウトさえ、そう思ったことだろう。なぜ、これほどまでに三振が奪えるのか。過去の甲子園にあまたと登場した"怪物"たちと何が違うのか?

「すぐにでも指名したいわ。とにかくあと1年、故障だけはしないでくれという思いです」

 そう言って笑ったのは楽天のチーフスカウト吹石徳一氏。迷うことなく松井の「すごさ」を挙げた。

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