ホークス快進撃を支える工藤流「投手育成」采配

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 これぞ工藤野球――その采配に思わず唸ったのは、6月19日のホークス対ファイターズ。この日は交流戦後のリーグ再開初戦であり、パ・リーグ首位攻防3連戦の第1戦目という重要な一戦だった。

 着目したのは先発投手を交代させたタイミング。ホークス工藤公康監督とファイターズ栗山英樹監督はあまりに好対照だった。

「相手投手が嫌がる野球を目指したい」と語っていたホークス工藤公康監督「相手投手が嫌がる野球を目指したい」と語っていたホークス工藤公康監督

 工藤監督が大事なマウンドに送り出した先発は中田賢一。昨季、チームトップタイの11勝をマークし、今季も5月に1完投を含む3戦連続白星を挙げるなど力のある右腕だ。しかし、"暴れ馬"の異名を持つように、コントロールに課題を残している。

 この日の中田は悪いクセが顔をのぞかせた。初回こそ無難な立ち上がりを見せたが、2回は先頭から2者連続フォアボール。その後、自らの失策で先制点を許す最悪の展開だった。5回にも3連打を浴び追加点を許した。先発の責任投球回数は投げ切ったが、5回を99球、5安打、3四球、2失点。正直、よく2点で収まったという内容だった。

 一方、ファイターズの先発は、2012年のパ・リーグMVP左腕の吉川光夫。今季ここまで6勝をマークして復調の気配を見せているとはいえ、相手は強力ホークス打線。先制した直後の2回裏、李大浩に17号同点ソロを浴び、3回にも失点。5回表にチームは同点に追いつくが、その裏、再び勝ち越しを許してしまった。5回を77球、3安打、2四球、3失点。ただ、失点こそ中田よりも1つ多かったが、投球内容は決して悪くはなかった。

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