【自転車】片山右京が語る「ツアー・オブ・ジャパン」に賭ける思い (4ページ目)
そうは言っても、ツアー・オブ・ジャパンで総合優勝を達成するのは決して容易な業(わざ)ではない。過去にこのレースで優勝を飾ったのは、サイクルロードレースの本場・欧州出身の選手や、あるいは昨年のイラン勢など、外国人選手ばかりである。日本人の優勝者は2004年、ブリヂストン・アンカー時代の福島晋一のみだ。福島の先にも後にも、日本人はツアー・オブ・ジャパンで優勝を飾っていない。それはすなわち、「日本と諸外国との競技水準の差」という厳しい現実の表れでもある。
「だから、このレースでどれだけの結果を残せるかということで、今の自分たちに足りないものが、世界という物差しのもとで、さらにハッキリと見えてくるんですよ」と片山は言う。
「自分たちは小学校の運動会レベルなのか、あるいは世界の強豪たちに攻撃してチャンスを広げていくことのできるチームなのか。あと1枚、2枚のカンフル剤を投入して、スプリンターや登りのエース級を補充すれば、さらにワンステップ上の段階へ上がることができるのかどうか。今年のツアー・オブ・ジャパンは、現状のTeamUKYOの実力を見極める意味でも、重要な戦いになります」
(次回に続く)
著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。
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