【自転車】片山右京「チームを束ねる、という難しさ」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 自分たちは何のためにレース活動をやっているのか、本当に目指している場所はどこなのか――。そこを見誤まっていないのが僕たちの強さだし、少なくとも僕の立場では、3年後、5年後、そして(2020年の)東京オリンピック後も見据えて、地に足の着いた活動と事業計画を進めています。だから、ここから先に横たわっているであろう、もっと埋めにくいギャップだって、必ず乗り越えてゆくことができるし、(プロコンチネンタルチーム化も)実現できるという確信のもとに、すべての作業を進めています」

 今、片山たちが進めているのは、来シーズンに向けた準備だ。2014年はシーズン途中で数名の選手の入れ替わりがあったものの、10名の陣容で戦った。来シーズンも、チーム規模は今年とほぼ同様になるだろう、と片山は話す。だが、究極の目標とする「ツール・ド・フランス参戦」を実現させるためには、まずはプロコンチネンタルチーム化が最低限の条件で、そのためには選手、スタッフともに大規模な増員が必要となる。

 来シーズンのTeamUKYOは、今年と同じアジアツアーコンチネンタルチームとして戦うことが決定している以上、今年と同規模の陣容でまずは地固めを強固にし、今後の大きなジャンプアップに備える......というビジョンのようだ。「角を矯(た)めて牛を殺す」の喩(たと)えもある。目先のことに焦るあまり、拙速な業務拡大をして結果的に大きな失敗に至る例は、分野に限らず枚挙にいとまがない。

「力業(ちからわざ)だけでは事は進まない......と分かりましたからね。だから、そこはもう少しデリケートに、コツコツと職人技のように作り込みながら、スポンサー営業をしたり、ビジネスモデルを組み上げながら、少しずつでも予算を増やして現場レベルの改善を進めようと考えています。スタッフも成長しなければならないし、人手が足りずに改善したくてもできなかったこともある。少なくとも、それらを机の上にあげて協議をする余裕すら、今年はなかった。『哲学のない組織は生き残れない』という意味でも、トップに立つ者としては反省しきりです」

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