【自転車】片山右京「2014年シーズンで学んだこと」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 チームタイトルを逃してしまったことについては、これは言い訳になってしまうけれど、アジアやヨーロッパのUCIレースに遠征した際に日程が重複してしまい、Jプロツアーのレースに数戦出場できなかった。それらのレースに参戦できていれば、チームタイトルも防衛できていたかもしれない。来年は、その調整をうまくできるチーム体制作りを目指して行きたいと考えています」

 しかし、今シーズンの敗因はそればかりではない。個人競技でありながらチーム全員で勝利を目指して戦う――というサイクルロードレース独特の特性について、自分たちよりも宇都宮ブリッツェンのほうが1枚上手だった、ということも片山は正直に認めている。

「選手個人の力量でいえば、僕たちのほうが上だったかもしれない。ただ、チームワークやレース展開の組み立てのうまさという点では、ブリッツェンと比べれば、うちはまだ万全ではなかった、ということだと思います。シーズン終盤なんて、うちも人数を揃えて出ているのに、ポイントを詰めるどころか逆に離されてしまうレースもあった。でもそれこそが、この競技がチームスポーツであることの証明でもあるだろうし、スポーツに占めるメンタルな要素の大きさを逆に証明されてしまったような、そんな気もします」

 チームを結成し、初めてJプロツアーに参戦した2012年から、個人とチームの両タイトルを獲得した2013年にかけて、TeamUKYOは飛躍的な進歩を遂げた。しかし、今年は前述のとおり、個人タイトルの防衛は果たしたものの、チームタイトルを逃す結果となった。そのリザルトはともかくとしても、ではこの1年間でTeamUKYOは何を学び、どれくらいの成長を果たしたのだろう。

「結論からいえば、あまり変わらなかった......と認めざるを得ないでしょう。今年は昨年よりも、多少は選手を補強し、戦力を上げたつもりでしたが、Jプロツアーの優勝回数や獲得ポイント、UCIレースでの獲得ポイントなども含めて見れば、『横ばいだった』というのが正直なところです。

 選手個々の能力は向上したと思います。しかし、それをうまく機能させることができなかった。我々が自転車チームの運営に関してまだ勉強不足なところが多かった、ということもあるけれども、メンタルな要素がここまで大きく作用するのか、ということも同時に痛感しました。

 そういう意味では、ショックですよ。ヨーロッパの強豪選手を連れてくれば日本なんて簡単に勝つことができる――と思っていたけれど、実は世の中はそんなに甘いものじゃなかったんですから。でも、そんなふうにおごっていた自分の鼻っ柱を叩き折ってくれたことには感謝をしているし、日本人はそこまでヤワじゃないんだと教えてもらったことも、逆にうれしく感じています。

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