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【自転車】片山右京「ツール・ド・フランスを楽しく観戦するツボ」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira photo by AFLO

 これら以外にも、25歳以下の選手を対象とし、その中で最も総合順位が上位の選手に対して与えられる新人賞のホワイトジャージ、『マイヨ・ブラン(maillot blanc)』というものもある。

 長いレース期間中には、これらの華やかな各リーダージャージの行方を巡る攻防があり、各ステージでは選手やチームがそれぞれの思惑をもとに、様々な駆け引きを行なっているのだ。それらの争いに着目すれば、一見、分かりにくく見える自転車ロードレースの見どころは、かなり鮮明に浮かび上がってくるだろう。

 7月19日現在、第14ステージを終えたツール・ド・フランスは、マイヨ・ジョーヌをヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア/アナスタ・チーム)が、山岳賞のマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュをホアキン・ロドリゲス(スペイン/チーム・カチューシャ)が、そして最速スプリンターのマイヨ・ヴェールはペーター・サガン(スロバキア/キャノンデール)が着用している。

 ちなみに、これらグランツールでの賞典とジャージを発祥とし、今では様々なレースで同様のリーダージャージが存在している。日本の年間シリーズ戦Jプロツアーでは、総合首位の選手に『ルビーレッドジャージ』という赤いウェアが与えられる。今年は、つい先ごろまでTeamUKYOのリカルド・ガルシア(スペイン)がルビーレッドジャージを保持していたが、チームの欧州遠征に先駆けてスペインへ帰省し、直近の数レースを欠席したため、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の手に渡った。7月20日に行なわれたJプロツアー第11戦石川ロードレースでは、TeamUKYOのホセ・ビセンテ(スペイン)が独走で優勝を飾ったものの、3位でフィニッシュした増田がルビーレッドジャージを防衛している。

 次回は、これらの賞典を巡るチームや選手間の様々な駆け引きに注目し、さらに自転車ロードレースの奥深い観戦術を紹介していこう。

(次回に続く)

著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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