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【自転車】片山右京「ツール・ド・フランスを楽しく観戦するツボ」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira photo by AFLO

 この総合優勝争いに加え、自転車レースをさらに大きく盛り上げるのが、『山岳賞』の行方だ。急峻(きゅうしゅん)な坂道を誰よりも速く駆け上がり、山岳賞を獲得した選手は、総合優勝と同等の尊敬を集める。

 日々のステージに登場する山岳は、標高差や勾配などの難易度で、超級から1級、2級、3級、4級、と5種類に区分されている。これらの各山岳では、頂点に山岳賞地点が設けられており、そこを通過した順にポイントが与えられる。このポイントは、山岳の等級や選手の到達順で、何位通過までに何ポイントが与えられるかという配分が異なっている。同じ1位通過であっても、4級山岳よりも超級山岳のほうが当然、獲得ポイントは大きい。

 今年のツール・ド・フランスのルールでは、超級山岳の場合、トップ通過が25点で2番手通過は20点と、上位10選手に山岳ポイントが付与されるが、4級山岳の場合はトップ通過の選手に1点が与えられるに過ぎない。この山岳ポイントで首位に立っている選手は、白地に赤色の水玉がデザインされたジャージ、『マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(maillot blanc a pois rouges)』を着用する。

 難易度の高い超級や1級山岳がいくつも登場する日のステージで、ことごとく頂上の山岳賞地点をトップ通過すれば、かなりの山岳ポイントを荒稼ぎできる。対照的に、極端にフラットなステージで4級山岳がひとつしかない場合は、どれほど後続選手とタイム差が開いていても、獲得できるポイントはわずか1ポイントのみだ。このようなポイント配分の違いがあるために、山岳賞を狙う選手やチームは、山岳ステージに最も力を注ぎ、フラットなステージでは無理せずに取りこぼしが少ない程度の走りにとどめる、という戦略になる。

 クライマー用の賞典が山岳賞であるように、平地のスピードで勝負するタイプの選手用に設定された賞典が、『スプリント賞』だ。日々のステージには必ず中間スプリントポイントという地点が設けられており、そこを最も速く通過した選手から順に、15名の選手が20点、17点、15点、13点......、と順に点数が与えられてゆく。

 また、ゴール地点でも到着順にスプリントポイントが付与される。その点数配分は、山岳賞とは逆に、起伏の少ないステージほど高いポイントが与えられるようになっている。平坦ステージのゴールスプリントは、トップフィニッシャーに45点が与えられるが、山岳ステージの場合は1位でゴールしても20点にとどまる。

 このスプリントポイントを最も稼いでいる選手が着用するのは、グリーンジャージの『マイヨ・ヴェール(maillot vert)』だ。

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