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【自転車】片山右京「エースを支えるアシストライダーの役割」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira photo by AFLO

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第15回】

 現地7月27日、第101回ツール・ド・フランスはゴールのパリ・シャンゼリゼを疾走して幕を下ろした。日本人で唯一ツールに参戦し、チーム内でアシストライダーとしての役割を担う新城幸也は、総合65位でフィニッシュ。途中でリタイアすることなく、見事に最後まで走り切った。3週間の長きに渡るレースで、新城のようなアシストライダーにはどのような走りを求められているのか。今年のツールを例に挙げながら、エースを勝たせるために走るアシストライダーの役割などを紹介しよう。

(前回のコラムはこちら)

坂道で集団の先頭に立ってチームメイトを引っ張る新城幸也(右)坂道で集団の先頭に立ってチームメイトを引っ張る新城幸也(右) 2014年のツール・ド・フランスは、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア/アスタナ・プロチーム)が総合優勝を飾って閉幕した。昨年の覇者クリス・フルーム(イギリス/チーム・スカイ)や、下馬評で優勝候補筆頭だったアルベルト・コンタドール(スペイン/ティンコフ・サクソ)が、ともに序盤のステージで負傷を喫して早々にリタイアしてしまったため、それ以降はニーバリが圧倒的な優位を保ったまま、3週間のレースが推移していった。今回のツール・ド・フランス優勝により、昨年のジロ・デ・イタリアと2010年のブエルタ・ア・エスパーニャを制したニーバリは、史上6人目となる3大グランツール完全制覇を達成した。

 この偉業は、もちろんニーバリが優れたロードレーサーである証(あかし)だが、同時にチームのアシストライダーたちによる、「エースを勝たせるための献身的な働きの成果」でもある。エースライダーとアシスト選手たちがチーム一丸となって機能する複雑な戦略や駆け引きは、サイクルロードレース最大の魅力であり、醍醐味だろう。しかし、レースに興味を持ち始めたばかりの初心者やライトなファンには、選手たちが前に出たり、集団で走行したりすることの意味や目的をなかなか理解しづらいのも事実だ。

 そこで今回は、エースを勝たせるためのアシストライダーの働きや、チーム戦略について、簡単に説明を試みてみることにしよう。

 ツール・ド・フランスをはじめとするワールドツアークラスの大きなレースでは、各チームから9名の選手がエントリーする。この9名の中には、スプリンタークライマールーラーパンチャーなど、様々な脚質を持った選手がいる。各チームでエース格と目されている選手は、総合的な力を備えたオールラウンダーであることが多い。このエースを支えるアシスト選手たちの仕事は、その脚質のタイプによって様々な役割があるが、その代表的なもののひとつが、エースの体力を最後の勝負どころまで温存させておくための「風よけ」や「ペースコントロール」だ。

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著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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