【新車のツボ140】シボレー・コルベット、神様スポーツカーはアメリカにあり! (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 それは事実ではある。ル・マンを走ったコルベットは正式名称を「C7.R」といい、GTEプロのレギュレーションに合わせたエンジンや市販版よりさらに幅広いボディをはじめとして、細部までレース専用の仕立てである。

 しかし、C7.Rが市販されているコルベットと「まるで別物」かといえば、断じてそんなことはない。C7.Rの基本的なレイアウトはコルベットそのままである。

 今のコルベットは日欧の名門スポーツカー/スーパーカーのすべてのなかでも、もっとも理知的な機械といっていい。コルベットのツボはおおざっぱの正反対の緻密で精密であり、直線番長とは真逆の超絶コーナリングマシンなのだ。速く走るために、なにひとつ妥協していない正義のオーラがビンビンである。

 現在市販されるコルベットには大きく3種類あって、基本は自然吸気エンジンを積んだ"Z51"で、もっとも高性能なのはワイドボディにスーパーチャージャーエンジンを積む"Z06"である。ただ、ル・マンを走ったC7.Rはレギュレーションの都合で5.5リッター自然吸気エンジンを積んでいるから、その意味ではZ06と同じ高性能ワイドボディと自然吸気を組み合わせた中間モデル"グランスポーツ"が、ル・マンカーにもっとも近い市販コルベットといえる。今回の取材車はそのグランスポーツだ。

 コルベットはいわゆる"FR"で、フロントにエンジンを搭載して後輪を駆動する。ただ、普通はエンジンと一体でフロント側に置かれる変速機を後輪軸と一体化してリアに置く"トランスアクスル"という方式である。

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