【新車のツボ114】
トヨタ・ランドクルーザー・プラド試乗レポート (2ページ目)
日本で販売されるプラドには、ほかのランクルにはない魅力がひとつある。それは最新クリーンディーゼルを積んでいることだ。
ガラガラという独特の音がして、低速からモリモリと力強いが高回転は苦手......というディーゼルエンジンの特性は、乗用車では賛否両論でも、ランクルのようなデカくて重いクルマにはよく似合うし、ジワッと回るので微妙な速度調整もピタリと決まる。本気でアクセルを踏むとけっこう速いけれど、小高いところから周囲を見下ろして、ディーゼルがもっとも気持ちいいスピードで走っていると、自然と「お先にどうぞ」と大人の運転になる。最新のレーダー式クルーズコントロールもついているので、それを効かせたセミ自動運転で、悠然と流しているときがプラド最大のツボ。たまらなく快適で、しかも疲れない。
燃費も9km/L台は軽〜く出せる。数値そのものもヘビー級のクルマとしては良好で、しかもディーゼル燃料(軽油)はレギュラーガソリンより約2割ほど安い。実質的な燃料費はガソリン車の10〜12km/Lくらいと考えていい。意外なほど経済的なのだ。
世界でもっとも過酷な風土に適応したランクルは、やはり昔ながらの"ヨンク"と呼ぶのがしっくりくる。この種の"ヨンク"は日産や三菱も得意としてきた分野だが、日産のそれはすっかり海外専用商品になってしまったし、三菱も日本ではパジェロ(第23回参照)しか買えない。それ以外でランクルに匹敵する"ヨンク"は、スズキ・ジムニー(第11回参照)くらいしかない。
そう考えると、ランクルシリーズにFJクルーザー(第4回参照)も加えた"ヨンク王国"を、日本国内できずいてくれているトヨタに、マニアはアシを向けて寝るべきではない。
【スペック】
トヨタ・ランドクルーザー・プラドTZ-G
全長×全幅×全高:4760×1885×1835mm
ホイールベース:2790mm
車両重量:2300kg
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ・2754cc
最高出力:177ps/3400rpm
最大トルク:450Nm/1600-2400rpm
変速機:6AT
JC08モード燃費:11.2km/L
乗車定員:7名
車両本体価格:513万3927万円
著者プロフィール
佐野弘宗 (さの・ひろむね)
1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/
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