【新車のツボ100】ロールス・ロイス・レイス試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 今回の取材車もそうである。たとえば、1300個以上のLEDを職人が手埋めするスターライト・ヘッドライナー(直訳すると、星空天井)だけでも140万円ちょい、自光式のボンネットマスコット(通常は金属製)で80万円弱......と、「それだけで新車が1台買えるわ!」とツッコミたくなる驚愕オプションがテンコ盛り。ベース価格は前記のとおり3333万円だが、今回のレイスの総額はほぼ4000万円でございます。あっ「マンションを諦めれば、俺、もしくは私でも買える......」とか錯覚しちゃったそこのアナタ、クルマには30年ローンとかありませんから。あしからず。

 それにしても、やんごとない世界を垣間見ると、すぐにカネの話となってしまうのが、下々の人間の悪いクセである。すみません。

 レイス......というか、ロールス全車に共通する大きな特徴のひとつに、現在のクルマ用のドアとは正反対に、後ろヒンジで前側が開く"コーチドア"がある。

 こうした前開きドアは、きらびやかにドレスアップしていても乗り降りしやすく、ロールスに乗るような超VIP最大のハイライトである「クルマから降り立つ」ときに優雅に見える......というのがメリットだろう。

 ファントムやゴーストなどの4ドアのロールスでリアドアが前開きなのは、主役たるオーナーが座るのが基本的に後席だからだ。しかし、レイスは主役がみずから運転する2ドアクーペなので、当然のごとくのフロントがコーチドアになるわけだ。

  ロールスは伝統的に、エンジンスペックを公開していなかった。エンジンのデータ表に記されていたのは"必要十分"という文字だけ。こんなエピソードもかつてはロールスの孤高っぷりを象徴するツボだったのだが、BMW傘下になった現在のロールスは普通のクルマと同じく、排気量や出力、トルク、燃費(日本のJC08モードは非公開......というか、たぶん未計測)といった性能値はきちんと公開されるようになった。なんせ、現代はなんでも情報公開の時代だからか(笑)。

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