【新車のツボ86】マツダ・アクセラXD試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 アクセラのなかでも、このXDグレードはあのメチャクチャ速いアテンザやCX-5と同じディーゼルエンジンを積む。アクセラは最も軽くて小さいので、輪をかけて速い。

 その加速性能も旋回速度もクラストップ級といっていいが、そのわりに乗り心地が穏やかで、アシまわりは意外なほど柔らかいのが、アクセラXDの特徴でもある。この種のスポーティカーは「水平姿勢のままカキカキ!」という味わいを前面に押し出すタイプが多いが、アクセラはその正反対である。

 たとえば、交差点でも超高速コーナーでも、曲がる手前でわずかに減速するだけで、アクセラの鼻先はわずかにジワッと沈み込む。クルマが「さあ、これから曲がりまっせ!」と"ため"をつくるのだ。そして、曲がりはじめると、外側にボディが傾くロールは意外と深めなのだが、それがまた"ため"の効いたじわりと重厚な身のこなしなのだ。だからこそしっとりとタイヤが吸いついて、最終的にはきれいに弧を描くようなコーナリングラインで、しかもドンピシャの呼吸で曲がっていく。一体感があるので乗り手もより思い切れて、結果的にさらに速く走れる。

 マツダ最新の走りの極意はすべてのアクセラに共通するのだが、なかでもエンジンが圧倒的にパワフルで、しかもこれだけ速いのに物腰やわらかで、"ため"と"構え"を見事に両立しているのがアクセラXDである。マツダの走りの極意をもっとも分かりやすく、そして高次元に体現できているアクセラだ。

 ここで何度も書いているように、このアクセラXDのような走りこそ、私のツボ中のツボである。しかし、このツボをどう表現すれば皆さんにお伝えできるかが、私にとっての永遠のテーマだった。それを"ため"と"構え"という言葉で表現してくれたマツダのおかげで、私は積年の胸のつかえがスッキリ取れた気がする。ありがとう、マツダ! 私は今日から広島(=マツダの本拠地)に、アシを向けて寝ないことにする(ホントか?)。

【スペック】
マツダ・アクセラスポーツXD
全長×全幅×全高:4460×1795×1470mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1430kg
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ・2188cc
最高出力:175ps/45006000rpm
最大トルク:420Nm/2000rpm
変速機:6MT
JC08モード燃費:21.4km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:306万7200円

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