2014.09.11

【新車のツボ86】
マツダ・アクセラXD試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 仕事がら、それなりにたくさんの新車に接している私だが、乗った瞬間に「キタコレ!そうそう、コレなのよ!」と絶叫したくなるクルマは滅多にない。最近の例でいえば、今回のマツダ・アクセラのXD(=ディーゼルターボモデル)は、その典型である。

 昨年末に発売された最新のアクセラは”スカイアクティブ・テクノロジー”と銘打った新世代マツダ車の第3弾で、基本骨格設計は先にデビューしたCX-5(第71回参照)やアテンザ(第60回参照)と共通部分が多い。

 以前にも書いたが、今のマツダは「いい走りとはなにか?」とか、クルマとドライバーが意思疎通する「人馬一体」を、日々追求するオタクな自動車メーカーだ。マツダの技術者に「いい走りって?」などと水を向けたら最後(笑)、うんざりするほど(失礼!)延々とウンチク話がほとばしる。

 アクセラは、この原稿を書いている9月初旬現在におけるマツダ最新の成果である。そんなアクセラで到達した走りの新境地を、彼らは”ため”と”構え(かまえ)”という言葉で表現する。

 たとえば剣道や空手(いや、あらゆるスポーツも同じか)において、ワザを繰り出す直前に、人間はふっと瞬間的に動きを止める。これが”構え”だ。クルマでいえば、アクセルを踏むと同時に「さあ、加速Gが来るぞ」と首の筋肉が緊張する瞬間などをいう。

 マツダによれば、だからアクセルでもステアリングでも、なんでもタイムラグなく敏感にするだけでは、人間はクルマとの一体感を得られないんだとか。反応時間にわずかな”ため”をつくって、人間が”構え”る猶予をわざと与えるのが一体感の極意……と、マツダは気づいた。ちなみに、アクセル操作してから実際に加速Gが発生するまでの理想的な時間差(=ため)は、マツダの研究によると0.3秒なのだという。へぇー。

 もっとも、アクセラに実際に乗っても、われわれのようなシロートは”ため”とか”0.3秒”なんてものを具体的に意識することはない。とにかく「運転しやすいなあ」とか「思ったとおりに動くなあ」と思うだけ。しかし、あらためて他のクルマと較べると、アクセラの「思ったとおり」のレベルが素晴らしく、乗っているだけで「クルマと呼吸が合うとは、こういうことか!?」とヒザを叩きたくなる。