【新車のツボ60】
マツダ・アテンザセダンXD 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 マツダとしては国内で久々のロングヒット作となっているCX-5、そして昨年末の発売からあっという間に街中で頻繁に見かける新型アテンザ......。この2台の人気を支えているのは間違いなく、いわゆる"クリーンディーゼル"エンジンである。CX-5、アテンザともにガソリンエンジン車も用意されているのだが、実際の売上は半分以上......どころか80%以上をクリーンディーゼルが占めるとか。

 ディーゼルはもともと熱効率(≒燃費)が良好なのだが、排ガス浄化が難しく、低速トルクは大きく粘り強い特性であるいっぽうで震動騒音が大きめという欠点......というか個性のあるエンジンである。しかし、最新のクリーンディーゼルは、昭和時代の日本人の固定観念である"トラック用"とか"大気汚染の元凶"みたいなイメージとはまったく正反対......といっていいくらいの別物だ。

 ハイブリッドが先に普及した日本では、そういう最新鋭クリーンディーゼルの入り込む余地がなかなかなかったのだが、「ウチのエコカーはまず純エンジン車で」と決意したマツダが、完全新設計クリーンディーゼルを搭載したCX-5を発売。日本でもついにクリーンディーゼルが大ブレイク......という運びになったわけだ。

 今回のアテンザのディーゼル搭載車(グレード名はXD)もエンジンそのものはCX-5のそれとまったく同じ。ただし、アテンザXDの場合は、そんな最新クリーンディーゼルを大型サイズの(あのクラウンよりデカイ!)高級セダンに積んで、しかもマニュアル・トランスミッション(MT)まで用意したところが、マニアにはたまらないツボである。

 アテンザXDに乗ると、1000rpm以下の超低回転から濃厚ハチミツのように粘るディーゼルエンジンの魅力はやっぱり、MTで味わってこそ......と実感せざるをえない。

 アテンザのディーゼルはとにかく笑ってしまうほど粘っこいエンジンである。メーター読み800rpmほどのアイドリング回転のままクラッチをテキトーにつないでも涼しげに走り出して、タイヤが少しでも転がっていれば、トップの6速でもアイドリング回転のまま何事もなく走ってしまう(笑)。

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