【新車のツボ61】
ポルシェ・ボクスター 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 ポルシェのスポーツカーには現在、大きく3種類のモデルがある。エンジンをボディ後端にぶら下げるように搭載する"911"、そしてエンジンをリアタイヤ前方に搭載(=ミッドシップ)するのが"ケイマン"で、そのオープン版が"ボクスター"である。ケイマンとボクスターは屋根が開くかどうか以外は基本的に同じクルマと考えていい。

 ここでも以前、ポルシェ・ケイマン(第28回)を取り上げたが、そのケイマンもこの夏にフルモデルチェンジした。というわけで、911、ケイマン、ボクスターは現在、全機種が今後5年は続くであろう最新世代として出そろった。前世代のポルシェで、ワタシのツボをもっとも鋭くエグッたのはケイマンだったが、最新世代でツボなのはボクスターだ。

 超高精度の機械がヒリヒリとパワーを絞り出すエンジン、硬質なのにどこか柔軟性を秘めたボディ剛性、どこまでも正確でタフなハンドリング、いちいち納得せざるをえないサジ加減の電子制御デバイス......と「さすがポルシェ!」なツボは、最新ポルシェの3車種すべてに共通する。

 それもそのはず、911とケイマン/ボクスターも運転席より前方はほぼ一緒で、機械部分のスタンダードは同じだからだ。ただ、リアサスペンションは911のほうがより高度で複雑、エンジンもあえて911だけに高性能なものが搭載されており、ポルシェの商品構成上では「911がもっとも高価で高度で高性能」というヒエラルキーが与えられている。

 ポルシェは根本的な部分がすごく高度に完成されているので、エンジン位置やルーフの有無、そして微妙なサスペンション形式のちがいが、教科書どおりの理屈で、実際の乗り味にきっちり表れているのが面白い。911、ケイマン、ボクスターはどれも乗ったら「ああポルシェだねえ」と感心するしかないが、そのいっぽうで「自分のツボを突くポルシェはこれ!」という好みもハッキリと出やすい。

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