2014.09.26

【新車のツボ87】
ボルボS60ポールスター試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 ボルボ……と聞いて、モータースポーツを想起する日本人は少ないと思う。ボルボは、F1や世界ラリー、ル・マンといった、日本で一般的になじみあるカテゴリーにワークス参戦したことは基本的にない。ただ、ボルボがモータースポーツと無縁というわけではない。歴史的に見ると、市販セダンベースのサーキットレース(=ツーリングカー)でボルボが活躍した時代は、これまでに何度もあった。

 ボルボマニアの間で今も語り草となっているのが、1980年代の中ごろのETC(欧州ツーリングカー選手権)。当時は世界最高レベルのツーリングカーレースだったETCで、ボルボは85~86年の2年連続で年間タイトルを獲得。当時のボルボといえば”四角四面のボディデザイン”が特徴だったから、サーキットを疾走するボルボ240ターボは”フライング・ブリック(=空飛ぶレンガ)”なんて呼ばれたりした。

 また、90年代にはBTCC(英国ツーリングカー選手権。厳密には英国のローカルレースだったが、世界的に大人気だった)に、あえてワゴン(!)の850エステートで参戦して、話題を集めたこともあった(まあ、その後にやっぱりセダンに切り替わったけど 笑)。この時代のBTCCボルボは、われらがタミヤのプラモデルやラジコンカーでモデル化もされたから、その姿を記憶している人も少なくないだろう。

 今のボルボも、じつは地元スウェーデンのツーリングカーレースを中心にモータースポーツに参戦していて、実質的なボルボワークスとして機能しているのが”ポールスターレーシング(以下、ポールスター)”である。

 ポールスターはこれまでもボルボ用のカスタムパーツやエンジンチューニングメニューなどを提供していた。しかし、今回取り上げるS60ポールスター(ちなみに、ワゴン版のV60ポールスターも同時発売)は、エンジンだけでなく、ボディや内装、サスペンション、ブレーキ、変速機……にいたるまで”全身ポールスター”というべきコンプリートカーだ。