【新車のツボ83】
ルノー・キャプチャー試乗レポート (2ページ目)
キャプチャーは普通のクルマより背高で見晴らしがいいが、けっして高すぎることはなく、運転感覚や身のこなしはまるで普通に軽快で、安定している。室内はダダッ広くないが、大柄な欧米男性でも十分の適度な広さ。トランクはキャンプ用品を満載できるほど大きくないが、週末の買い出しや小旅行にはなんともちょうどいい。
傑作なのはシート表皮がファスナーで脱着可能で、しかもそれが水洗いができることだ。"丸洗いシート"なんて、使い捨て便座シートや除菌消臭スプレーがこれだけ普及している"潔癖症大国"の日本人にはこの上ないツボのはずだが、それが日本ではなくヨーロッパから出てきたことが意外であり、日本人としてはちょっと口惜しい。
そして、このクルマを取り上げたもうひとつのツボは、当然のごとく、走りもいいからだ。エンジンは1.2リッターのダウンサイジングターボ(従来型の1.5~1.6リッター相当)だから、もちろん、びっくりするほど速いとか、ギュンギュン曲がる系ではない。フランス車といえば、低反発クッションのごとき柔らかな乗り心地を期待するマニアも多いだろうが、そういうタイプでもない。
キャプチャーの足まわりは滑らかだが、けっこう反発力が強めだ。こういう設定は下手をすると落ち着かず不快になるのだが、そこは絶妙なサジ加減で、いい意味で"弾むような"活発な操縦性が新鮮だ。ソフトな乗り心地はルノーの伝統芸だが、このクルマではあえて異なる方向で、これまでにない新しくカジュアルな乗り心地を表現したところが、ルノーファンの私としては新鮮なツボなのだ。
キャプチャーには、これ見よがしのハイテクや"ほうら、私って面白いでしょ"みたいな押しつけがましい小技もない。でも、実際に見て、触れて、乗ってみると、なんとなく新しくて、これまでにないクルマ感にあふれるのだ。
キャプチャーは日本ではまだまだめったに見かけない(泣)ニッチ商品だが、発売直後の昨年末から今年前半にかけては、このジャンルで欧州ベストセラーだという。ルノーというのは、昔から、新ジャンルで市場のツボをつかむのが本当にうまい。
【スペック】
ルノー・キャプチャー・インテンス
全長×全幅×全高:4215×1780×1565mm
ホイールベース:2605mm
車両重量:1270kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ・1197cc
最高出力:120ps/4900rpm
最大トルク:190Nm/2000rpm
変速機:6AT
JC08モード燃費:――km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:267.2万円
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