2014.07.29

【新車のツボ83】
ルノー・キャプチャー試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 ルノー・キャプチャーはクルマの基本構造を、同じルノーのルーテシア(第76回参照)と共用しつつ、ちょっと余裕の地上高と背高ボディを与えた”ナンチャッテ小型SUV”である。そもそものSUVがそれ以前の伝統的なワゴンとクロスカントリー車を融合したナンチャッテだが、キャプチャーは、その境界線がさらに曖昧。今風の言葉でいう”クロスオーバー”というタイプである。

 この種の小型クロスオーバーは世界的にまんべんなく売れるのが特徴で、世界の主要メーカーがほぼ例外なく参入している。つまり、いま最もアツいジャンルのひとつだ。

 それは、わが日本や欧州などの成熟市場では”だれもが肩ヒジ張らずに使える小粋なオールラウンド生活車”ってな存在であり、同じ先進国でも大きなクルマが主流のアメリカでは”小さいことが逆に頭よさそう”という気取ったイメージがある。そのいっぽうで、アジアや南米などの新興国市場でも人気なのがこのジャンルの美味しいところで、小回りが利くうえに地上高に余裕があるところが、交通インフラが発展途上の新興国都市部でも重宝されている(東南アジアでは道路が冠水することも日常茶飯事だし)。

 昨年デビューしたルノー・キャプチャーはそんな小型クロスオーバーでも最後発組のひとつであり、ライバルと較べても、さらにナンチャッテ感が強い。たとえば、日本の日産ジュークやホンダ・ヴェゼルがなんだかんだいって4WD版やハイパワーモデルも用意するのに対して、キャプチャーはいさぎよくFFのみ。タイヤも完全な舗装路用である。

 まあ、この種のクルマで悪路を走るユーザーはほとんどいないとはいえ、ここまで割り切ったクルマづくりもめずらしい。ライバルや市場動向を研究し尽くした最後発のキャプチャーがこういう内容であることこそ、欧州を中心とした先進国市場で、この種のクルマがどういう存在なのかを象徴している。

 キャプチャーのツボは、そういう割り切った内容でありながら……というか、ここまで徹底して見切ったからこそ……の新しさと爽やかさにある。