宮司愛海&中村光宏が語る世界フィギュア。
北京五輪に向けた闘いが始まる (6ページ目)
中村 それもあるけど、この大会での成績によって各国の来年の世界選手権の出場枠が決まる。来年の世界選手権では北京五輪の出場権が決まる。
宮司 わ、大事だ。つながっているんですね。
中村 そう。世界選手権の出場3枠を獲得するには、男女とも3選手が出ている今回の日本の場合、3選手のうち上位2選手の順位の合計が13位以内。たとえば、これを保持できずに2枠になると、来年の世界選手権は大変なんだよね。
宮司 2選手のどちらかがミスをしたり、万が一ケガをしたら、13位は難しくなりますよね。
中村 そうなんだよ。ここ数年は世界選手権では3枠をキープしているけど、平昌五輪の日本女子は2枠だったでしょ。2選手合わせて13位以内は簡単じゃないんだ。
宮司 2022年まで、まだ2年あると思っていました。
中村 ノンノン。もう始まるんだよ。宮司は、世界選手権は何を楽しみにしているの?
宮司 女子は日本選手に注目すれば、紀平選手の4回転サルコウですね。樋口選手がトリプルアクセルに成功するかもだし、宮原選手にとっては復活の場なので、彼女の表現力や、美しいパーフェクトな演技も楽しみです。
中村 全部ってことね(笑)。フィギュア界はいま高難度ジャンプの時代になっているけど、アメリカのブレイディ・テネル選手は高難度のジャンプを飛ばないのに四大陸選手権で3位だった。フィギュアスケートの本質というと言いすぎかもしれないけど、スケーティングの美しさがある。そこをどれだけブラッシュアップしてくるのか。宮原選手とともに楽しみだよね。
宮司 スケーティングの美しさとジャンプの難度。このふたつが各選手のプログラムのなかで、どんなせめぎ合いをしているかも注目ですね。
中村 紀平選手は「絶対にジャンプだけでは勝てない時代になる」と言っていたんだよね。北京五輪で金メダルを獲ろうとするなら、ジャンプとプログラムの完成度の2つがカギになるだろうね。
宮司 この世界選手権は出場枠だけではなく、選手たちが2年後に向けた戦い方を模索する大会でもあるわけですね。日本勢にとってはロシア勢と直接対決できる貴重な機会でもあります。
中村 GPファイナルで紀平選手は対決したけれど、シーズン通してプログラムを作り上げての集大成の舞台だからね。
宮司 そこでどんな点数が出るのかも気になりますし、そこを経験することは来季以降につながっていきますよね。
中村 いずれにしろ、これまで見たことのない6分間練習が見られるだろうね。四大陸選手権で受けた衝撃を超えるのは間違いない。
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