宮司愛海アナが語るW杯バスケ。
日本全敗もここが「始まり」と信じてる (2ページ目)
そこから、同じくアメリカで戦う渡邊雄太選手が加わり、日本の中に「自分たちは戦える、勝てる」という空気が生まれました。
実際にそこを始まりにして破竹の8連勝。21年ぶりに、自力でのW杯出場をつかみとったのです。
そうした大躍進に伴い、日本でも注目度が高まっていきました。予選を終えてからさまざまなメディアに取り上げられている男子バスケを見た方も多いと思いますが、日本全体からの後押しもあって、精神的に充実した状態で選手の皆さんはワールドカップに臨めたのではないかと思います。しかし、実際に立ってみたワールドカップの舞台は、やはり簡単なものではなかったですね。
日本が属するグループEはアメリカ、トルコ、チェコ、という強敵ぞろい。世界ランク48位(当時)の日本にとってはもちろんすべて格上です。厳しい戦いになることは、誰もが想像していました。
まずは、初戦のトルコ戦。初戦の難しさについては選手のみなさんも話されていましたが、固くなってしまった入りから流れを掴むことができないまま、67-86で完敗。ほろ苦いW杯初戦となりました。
中継で解説をされた田臥勇太選手(宇都宮ブレックス)は、「みんなが遠慮してしまい、自分がやるという強い気持ちを持って試合に臨めていなかったのではないか」と分析されていました。実際に選手たちが試合後に語ったのも「雰囲気にのまれた」「戸惑った」ということでした。
続くチェコ戦では、トルコ戦のような立ち上がりの悪さは解消され、八村選手や渡邊選手が躍動しましたが、ディフェンス面に課題が残り76-89で敗戦。そして、アメリカ戦も45-98で敗戦と、日本の1次リーグは3連敗で戦いを終えました。
田臥選手の言葉で印象的だったのは、第3戦のアメリカ戦で「クォーター残り数十秒という重要な場面になった時、プレーが止まっている間、選手同士で集まって声を掛け合ったり、コート上で戦術の確認をしたり、そういう姿がまったく見られなかった」ということでした。
ほぼ全員がW杯という舞台での経験がない中、頼れるのはやはりともに戦う仲間たち。誰かが声を出したり、鼓舞したり、リーダーシップをとったり、ということがコート上で見られなかったのは、今回浮き彫りになった課題のひとつかもしれません。
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