シーズン最多本塁打のバレンティン選手に「喝」を入れたベテランとは?

 日本シリーズで楽天が初優勝した今年のプロ野球。田中将大投手のシーズン24勝0敗という大記録もありましたが、もうひとつ忘れてはいけないのは、ヤクルトのウラディミール・バレンティン選手の、シーズン最多ホームラン記録更新でした。

 正直、投手の細かな配球や打者との駆け引きを読むほどの観戦レベルではない私にとって、ホームランは分かりやすい野球の醍醐味! 豪快で、気持ちのいい華やかさがあります。今年は本当にバレンティン選手のホームランに楽しませてもらいました。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita シーズン60本という記録を樹立したバレンティン選手が、55本という王貞治選手(巨人・64年)やタフィー・ローズ選手(大阪近鉄バッファローズ・01年)、アレックス・カブレラ選手(西武ライオンズ・02年)の記録に並んだのは9月11日。この日から記録更新がいよいよ現実味を帯びてきて、私は「行ける時間があるときは現場に行こう」と神宮球場へ足を運びました。

 試合前、バレンティン選手にお話を聞くと、「(56号は)そのうち出るんじゃないかな」とリラックスした状態で、そうしたおおらかな心構えが、ノビノビとしたバッティングにつながっているのだろうなと感じました。

 バレンティン選手は、インタビューの時こちらの質問の意図をすぐに察してくれ、連日追いかけられて疲れているだろうとインタビューを短くコンパクトに終わらせると、「もういいの? まだ時間があるからもっと答えるよ」と言って心配りをしてくれるナイスガイ。

 それでも、連日ずっとカメラを向けられて、四六時中大勢の記者がゾロゾロ付いて来る状況が続くと、さすがに少しイライラする表情が見え始めました。あるとき、ティーバッティングの練習中に納得がいかなかったのか、バレンティン選手がバットを地面に投げつけました。すると、相川亮二捕手が「道具をぞんざいに扱うな」と、厳しい表情で睨んで注意したのですが、バレンティン選手も睨み返して一触即発の雰囲気に......。それでもすぐに、バレンティン選手が「わかったよ。俺が悪かった」という表情になってひと安心。バレンティン選手に喝を入れる相川選手の行動は「さすがベテラン」と思わせてくれるものでした。

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