日本人がやりがちなスポーツメンタルの5大NG。「緊張しない!」はかえって不安になる (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

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監督やコーチをよく見る

 中高生に多いのが「監督やコーチの目を気にしてしまう」という選手たちです。ひと昔前だと高校野球やバレーボールの指導者に多かったのですが、監督やコーチが怒鳴る場合、そういう状態に陥りやすくなります。

 試合中に怒鳴られて監督のほうを見ないと、「なんでこっち見ないんだ!」と怒られる。だから見たくなくても見ざるを得ず、それによってプレーに集中ができないわけです。それから日常的に怒鳴られることで、ミスをするたびに「あ、怒鳴られる」と監督を見てしまうというのも多いパターンです。

 これを改善するには、まず「指導者がコーチングを学ぶ必要がある」というのが前提としてあります。監督から怒鳴られたとしても聞いているフリをして聞き流せる選手はいいですが、真面目な選手はなかなかそうした要領のいいことができません。

 そこで大事なのが"視覚優位性"という言葉です。これは目の動きとメンタルは連動していて、目線をコントロールすることでメンタルもコントロールすることができるというものです。東京五輪の選手たちのなかにも、集中力を高めるために「空を見る」「遠くを見つめる」という表現をする選手が多くいました。

 空にある何かの点だとか、高くて遠くにある目印を見つけて、それを見つめて集中力を高めることを"フォーカルポイント"と言います。なかなか集中できない人は、フォーカルポイントを見つけることがおすすめです。

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「絶対に!」と結果を強く求める

 よく大事な試合などで「勝たなきゃいけない」「絶対に負けられない」と、勝敗の結果を強く意識してしまう選手が多いのではないでしょうか。実際、東京五輪でメダルが取れそうで取れなかった選手たちの多くが、そうしたコメントを残しています。

 メンタルは結果を気にしたり、「メダルを取らなければいけない」と義務感が出てしまうとダメなんです。こういう時はどうすればいいのかというと「この雰囲気を楽しもう」など、遊び心が出てきたら勝てるようになります。

 東京五輪で象徴的だったのが、スケートボードです。選手たちは普段から友だちなので、結果にかかわらず、ほかの選手がいい演技をしたらみんなで盛り上げて喜ぶ。これがスケードボードやスノーボードといったボード競技の文化なんです。

 まずは楽しんでお互いのプレーを褒め合い、尊重し、リスペクトする。その結果、金メダルを獲得できた。これはメンタル的には非常に大事なことです。「結果は欲しいけど、求めるのは目の前のやるべきことであって、結果はあとからついてくる」という発想になれば、結果を出せるようになっていくと思います。

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