日本人がやりがちなスポーツメンタルの5大NG。「緊張しない!」はかえって不安になる (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

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有名選手のルーティンをマネする

 例えば、野球のイチロー選手のバッターボックスでバットを立てる仕草や、ラグビーの五郎丸歩選手のプレースキック前のポーズなど、日本人なら誰もが知っている有名なルーティンがあります。こうした有名なものをマネしたくなる人は多いのではないでしょうか。

 ただ、普段の遊び感覚でやるぶんにはいいのですが、公式戦など真剣勝負の場でやる際は注意が必要です。あまりに有名なルーティンをマネると、必ず相手に野次られるネタになり、結果的にルーティンの動作が小さくなってパフォーマンス低下の原因になってしまうからです。

 そして重要なのが、「ルーティンは習得しなければ意味がない」ということです。スポーツメンタルの世界では"プレパフォーマンスルーティン"という言い方をしますが、その意味は「雑念を取り払い、集中力を徐々に高めるための一連の考え・行動」となります。一連の思考と行動を決めておくことによって、余計なことを考えずに済み、プレーに集中ができるというのが、ルーティンから得られる効果なのです。

 ただ、習得には時間がかかるものなのです。少なくとも数カ月は試行錯誤して練習する必要があります。五郎丸選手はあのルーティン習得に何年もかかったと証言しています。「習得できていないルーティンの状態」にありがちなのは、ルーティンをやることが気になってしまい、プレーに集中できていない状態です。ルーティンのためのルーティンになってしまうとダメです。

 東京五輪の選手たちのルーティンで最も多かったのが、「音楽を聴く」というものです。音楽は勝手に流れてくるので、自分で何かをやる必要がありません。音に注意が向くことで意識が外側に向き、考えすぎてしまう状態から抜け出せるので非常におすすめです。

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