エムバペが相手の逆を取りつづけられるカラクリ。元日本代表が解析

  • 松岡健三郎●取材・文 text by Matsuoka Kenzaburo
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

スポルティーバ 足ワザ100連発
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世界トップクラスに進化しつづける、キリアン・エムバペのテクニックを、紹介・解説。前回につづき、今回も元日本代表の永井雄一郎氏に実際にプレーしてもらい、そのポイントやプレーの特徴を聞いた。エムバペが相手の逆を取ってプレーできる、そのカラクリとは。

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そのスピードとテクニックが、ますます注目されているエムバペ photo by Getty Imagesそのスピードとテクニックが、ますます注目されているエムバペ photo by Getty Images↓【動画】エムバペのテクニック 実演&解説

 ドリブルで大切なのは、自分の間合いをつくれるかどうかです。相手が飛び込んできても先に反応してかわせるような空間をつくりながら、仕掛けていくのがポイントになります。

 この空間をつくれれば、自分のリズムでボールタッチできるようになると思います。クリスティアーノ・ロナウドのシザーズはまさにそれで、ボールをまたぐことで、自分の空間とリズムを生み出して、相手を寄せつけずに、自分のリズムで突破しているのです。

 もう一つ大事なのは、先を見据えたドリブル突破です。

 先を見ずに、目の前の1対1だけを考えていると、絶対にうまくいきません。1人はかわせるかもしれませんが、そのあとにカバーしてくる相手がいたりします。あるいは、せっかく突破しても、クロスを合わせる味方がゴール前にいなかったりします。

 決して独りよがりにならずに、周りを見て先のプレーを考えながら、「今ドリブルしたらチャンスになる!」と、素早く判断しないといけません。

 エムバペは自分の間合いが常につくれていて、先を見据えたドリブル突破もできます。

 今回エムバペのプレーを分析・実演してみて感じたのは、相手の動きに合わせて、ボールタッチの方向をギリギリで変えてかわしているということです。

 見た目は仕掛けていって、相手の逆へ簡単に突破しているように見えます。ところが、じつは「やろうとしていたプレーを、キャンセルして変更」という形が多いようです。

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