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ユニクロがスウェーデンのオリパラ代表団にウェア提供「嘘のような本当の話」から始まった契約と信頼関係を築いた現在地 (2ページ目)

  • text by Sportiva

契約のきっかけとこれまで

 スウェーデン代表との契約は2019年からとなるが、事の発端は2018年8月の北欧初のユニクロスウェーデン1号店のオープンだった。そこに当時のスウェーデンオリンピック委員会の会長ピーター・レイネボ氏が訪れた。

「嘘のような本当の話なんですが、ピーター会長が来店して、そこで店長に直接『次の東京大会でスウェーデン代表のユニフォームを提供していただけないか』とお話をいただきました。その店長からすぐに柳井康治(現 株式会社ファーストリテイリング 取締役)に話が入って、そして柳井から僕のところに電話が来ました。『やれますか』と。僕としては断る理由はありませんから、『やります』と答えました」

 まさに急転直下の出来事だが、このようなことが現実に起こったのは、ユニクロがグローバルブランドとして確固たる地位を築いていた証に他ならない。また勝田氏はピーター氏がユニクロに対して共感を持っていたことも理由のひとつだと考えている。

「スウェーデンはもともとオリンピックでは自国のメーカー(H&M)を着用していましたが、そこをあえてユニクロに声を掛けてくれました。我々はデザインや機能面でも長く着られるものを目指していますが、そんな我々のフィロソフィーやビジョンにマッチしたんだろうと考えています」

契約秘話やユニクロの思いを熱く語る勝田氏 photo by Takahashi Manabu契約秘話やユニクロの思いを熱く語る勝田氏 photo by Takahashi Manabu そして最初のコンタクトから約半年後、スウェーデンとのパートナーシップがスタートした。その際に掲げたウェア開発におけるキーワードが、QUALITY(高品質)、INNOVATION(革新性)、SUSTAINABILITY(持続可能性)の3つだった。

「とくにサステナビリティに高い関心を示されました。スウェーデンはサステナビリティの先進国のひとつで公式ウェアにも取り入れてほしいという要望がありました」

 契約以降、年3~4回のミーティングを実施して、選手やコーチ、各競技の協会や委員会メンバーからのフィードバックを反映。選手によるモニター検証や研究機関での試験を重ね、選手が満足できる品質を追求していった。

 その結果、当初の契約である2021年の東京オリンピック・パラリンピック、2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピックだけに留まらず、2024年のパリオリンピック・パラリンピックで公式ウェアを提供するに至った。

 とくに北京冬季オリンピックでは競技で着用したカーリングやモーグルチームから「過去最高のウェア」と称賛の声が挙がるとともに、同大会でスウェーデンとしては過去最多の計18個のメダルを獲得。ユニクロのウェアが好結果の要因のひとつになったとも言える。

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