尾方真生がビッグレース初優勝 「これでいいのかという迷い」からこだわりの先行で姉弟子ふたりを撃破 (2ページ目)

  • PR 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro

「山原選手が見えてから1回踏んで(スピードを上げて)、自分のペースに入れてから、最後、踏み直す(もう一度スピードを上げる)ことができました。いつか逃げきって、ビッグレースの初優勝ができたらって思っていましたが、その通りになって、自分らしい勝ち方だったなと思います」

 尾方にとって狙い通り、かつ会心の走りだった。
ガッツポーズが初々しい photo by Takahashi Manabuガッツポーズが初々しい photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る

偉大な姉弟子に勝利し、さらなる飛躍へ

 尾方は2020年のデビュー以来、トップ戦線で活躍し続けている逸材だ。2年目での5位を皮切りに、賞金ランキング上位の常連で、ガールズグランプリも2021年から3年連続で出場している。レーススタイルは先行型。しかしここまでビッグレースで勝てていなかっただけに、昨年11月の単独取材時には「大きなレースで勝てていないので、今は正直、これでいいのかという迷いはあります。ただ今の形が一番、勝ちパターンにもっていきやすいですし、心のどこかに先行へのこだわりは持ち続けています」と率直な気持ちを口にしていた。

 しかし、この日の決勝では3着になった當銘が「尾方さんの踏み直しが本当に強かった。脚の違いを思い知ったし、気迫を感じました」と舌を巻くほどの走りを見せた。今開催前に松戸と同じ333mの奈良競輪場に出向いて、準備をしてきたことも好結果につながったと尾方はレース後に振り返る。こだわりを貫いての戴冠に「大きなレースで先行するのはなかなか厳しくなってきているけれど、それで逃げきれてよかった」と満面の笑みを見せた。

 2着はガールズケイリンフェスティバルでの3回を含め、10回の特別レース優勝経験がある小林。近年はケガが続き、本来の走りからは遠ざかっているが、「元の練習に戻して2週間という短い期間でここまで戻せたのは収穫ですし、2着で悔しいと思えたのも自分のなかでは収穫。妹弟子が優勝して、近くに刺激となる存在もいますので、また頑張ります」と手応えを口にし、前を向いた。

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