パートナー企業が増加、チームのファンが商品に愛着も サントリーが目指すスポーツの事業化とは (2ページ目)
スポーツ事業推進部を創設
この2チームは長年、サントリーのCSR推進部門の管轄として活動してきたが、2021年4月にスポーツ事業推進部を創設し、宮里藍サントリーレディスオープンとともに、この部署に取り組みを移管した。富岡氏はその経緯と意図を語る。
「スポーツ事業推進部を立ち上げようと考え始めたのは、2019年くらいからです。当時はさまざまなスポーツで女性ファンが増え始めていましたし、スポーツとファッションの融合、健康志向もあって、スポーツの楽しみ方が少しずつ変わってきているなと感じていました。
またVリーグではチームが主体となって試合を運営することになりましたし、ラグビーのリーグにも変化があった時期でした。スポーツには、元気や明るさのイメージがあり、若い人たちへ向けてのメッセージを発信する意味でも、専門の部署を立ち上げることが必要ではないかという機運が高まり、スタートしました」
文字どおりスポーツ事業推進部は、スポーツの事業化を担う部署。CSR推進部とはまったく異なる目的となる。富岡氏は部署立ち上げに際し、社員を前に「コストセンターではなく、プロフィットセンターとして利益を上げ、大きくしていく必要がある」と話し、目的を明確にしたという。
存在感を示す両チーム
スポーツ事業推進部スタート以降、サンバーズ、サンゴリアスは、さらに充実度を増し、成績も上り調子に。サンバーズは、前述したように、2020-21、2021-22のVリーグを2連覇し、2023年5月に「2023アジアバレーボールクラブ選手権大会」で日本勢初の優勝を果たした。さらに12月にアジア代表として「FIVB世界クラブ男子選手権大会2023」に臨み、堂々の銅メダルを獲得。史上初の快挙に、富岡氏は「今回、世界の頂上が見えるところまで行けたので、選手たちにとってすごく自信になったと思いますし、モチベーションも格段に変わったと感じています」と笑顔を見せた。2023年12月、世界3位となったサントリーサンバーズ 写真提供:サントリー
また、サンゴリアスでは積極的な策を講じて、話題となっている。チームには今シーズンから先のラグビーワールドカップの決勝戦に出場した、ニュージーランド代表のキャプテン、サム・ケインと、南アフリカ代表のチェスリン・コルビが加入。世界トップクラスの選手の加入は会社としての本気度の表れと言っていい。
「なんでもかんでも有名な選手を獲得しようと思っているわけではなく、サンゴリアスのスタイルに合っている選手、チームにいい影響を与えられる選手を基準にしています。獲得資金は、中期計画のなかに組み込んでいます。もちろんさまざまなアクシデントによって選手の獲得が必要になってくる場合もありますので増減はありますが、会社側には理解を得られています。ただ、限りなく会社におんぶにだっこではいけないと思っていますので、まずは事業化を進めることによって、利益を上げていく体制を作っていこうと考えています」
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