パートナー企業が増加、チームのファンが商品に愛着も サントリーが目指すスポーツの事業化とは (3ページ目)

  • text by Sportiva

地固めと多方向への取り組み

 富岡氏は事業化に向けてさまざまな構想を持ちつつも、「今はしっかりと試合を回していくことを重視しています」とまずは足元を固めること、会場の確保と集客から始めている。そのうえで、「パートナー企業、いわゆるスポンサーの獲得」も重点項目のひとつに挙げた。

 パートナー企業の獲得にあたって、「サントリー」という企業名が前面に出ていることが懸念材料になるのではないかと思われるが、その部分について富岡氏は心配していないという。

「パートナー企業は少しずつ増えています。当然『なんでサントリーのチームをサポートしないといけないの?』と思う方もいらっしゃいますが、逆に『サントリー』だからこそと、メリットに感じていただける企業もあります。実際パートナー企業の社内で、真壁(伸弥)が講師となりワインセミナーを実施したりしていますし、お得意様をサンゴリアスの試合に招待させていただくこともできます。このようにサントリーとのつながりのなかで、我々としてご提供できる部分があると思っています」

 また、通常では見られないような、チームや企業をまたいだ形での取り組みも増やしている。

 昨年末12月30日のVリーグでの試合、東京グレートベアーズ対サンバーズのアウェーゲームをサントリーデイとして開催。一般的に試合を開催する時には、ホームチームのスポンサーが中心となって会場を盛り上げるが、この試合ではサントリーが協力して集客をアシストした。「直接サンバーズの売上にはならない」そうだが、無料でサントリーグループのハーゲンダッツ商品を配布し、飲料も特別価格で販売。これが好材料となったのか、観戦チケットは完売した。
アウェーゲームでのサントリーデイ。特別価格で飲料を販売 写真提供:サントリーアウェーゲームでのサントリーデイ。特別価格で飲料を販売 写真提供:サントリー
 また、昨年の秋にはバレーボールのアジア戦略にも乗り出した。パナソニックパンサーズ、ウルフドッグス名古屋とともにタイでJAPAN VOLLEYBALL ASIA TOUR IN THAILAND 2023「Panasonic ENERGY CUP」を開催。現地のチームを含む4チームによるこの大会に多くの地元ファンが訪れ、「盛り上がり的には日本以上でした」と大きな手ごたえを掴んだ。

 さらに、ゴルフの宮里藍サントリーレディスオープンとヤマハレディスオープンが相互協賛という形をとり、互いの会場で看板の掲出や、プロモーションブースを設けたりする取り組みも行なっている。

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