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ラグビー日本代表、W杯33試合から選ぶ「後世に残したい、あの一戦」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by Getty Images


 大会を通して日本代表のマイボールスクラム成功率は100%、ラインアウトの成功率は93.5%。いずれも高い数字を記録し、過去の日本代表の弱点を見事に克服した。

 自信を得たふたつ目の理由は、南アフリカ代表戦で採った「大胆な戦略変更」だろう。

 ジョーンズHCは日本独自のラグビーを追求すべく、パスとランを生かした「ジャパン・ウェイ」を掲げた。「サッカーのバルセロナのようなラグビーがしたい」「日本代表にエリアマネジメントという概念はない」「キックとパスの比率は1:11が理想」。多様な言葉でジャパン・ウェイの方向性を示した。

 しかし、この南アフリカ代表戦は、4年間で最も多くキックを放った。終わってみれば、キックとパスの比率は「1:3.4」。この大一番で、大胆な戦略変更を行なったのである。

 実は、日本代表チームは大会3カ月前から南アフリカ代表戦に特化した練習を進めていた。南アフリカ代表が誇る2メートル級のFWをなるべく多く走らせるため、FB(フルバック)五郎丸歩のロングキックを生かしてボールインプレーを増やす戦術を選択。キックを多用することによって、相手のラインアウトからのアタックを減らせるという狙いもあった。

 南アフリカ代表戦の1週間前、SH日和佐篤はこう言っていた。

「相手の強みは、セットプレーとモール。こちらがゴール前でペナルティを犯したら、すぐショットを狙うでしょう。だから自分たちの強みを出すためには、ボールインプレーを増やさないといけない。

 相手は日本代表戦をウォーミングアップくらいにしか思っていないかもしれないが、そこには必ず隙が生じる。主導権を握って、先制パンチを食らわして、どう相手をパニックに陥れるかだと思います」

 戦略変更した狙いが、まさに的中したと言えよう。

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