ラグビーW杯の興奮が欧州で再び。「シックス・ネーションズ」が熱い (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by Getty Images

 そして、上位2チームを追いかけるのは、2018年の王者アイルランド代表だ。昨年のシックス・ネーションズは3位、W杯では予選プールで日本代表に敗れて準々決勝でニュージーランド代表に完敗し、初のベスト4進出は叶わなかった。

 2013年から長らく指揮を務めていたニュージーランド出身のジョー・シュミットHCがチームを去り、アシスタントコーチを務めていたアンディ・ファレルがHCに昇格した。彼はイングランド代表のオーウェン・ファレルの父親である。

 新たなチームの立ち上げとして、キャプテンにはSOジョナサン・セクストンが選ばれた。No8のCJ・スタンダー、SH(スクラムハーム)コナー・マレー、CTBギャリー・リングローズ、2018年の大会MVPに輝いたWTBジェイコブ・ストックデールなど、アイルランド代表には才能豊かな選手が揃っている。王座奪回の可能性は十分だ。

 そして今大会、注目したいのが2023年W杯の開催国であるフランス代表である。近年のシックス・ネーションズでは低迷していたが、昨年のW杯ではしっかりとベスト8まで駒を進めた。

 W杯後、ジャック・ブリュネルHCが退任。フランス代表のレジェンドSHとして活躍したファビアン・ガルティエが新HCとなり、FLシャルル・オリヴォンが新たにキャプテンとなった。

 4年後の自国W杯開催を見据えて、すでにチームは若返りを図っている。父がフランス代表だったSOロマン・ヌタマックを筆頭に、PR(プロップ)デンバ・バンバ、SHアントワーヌ・デュポンなど、多くが20代前半だ。若いタレントを中心に、2010年以来の優勝をうかがう。

 残りは2チーム。まずは、昨年のW杯で日本代表に敗れて決勝トーナメント進出を逃してしまったスコットランド代表。シックス・ネーションズでは近年なかなか上位に食い込めておらず、2000年に6カ国対抗になってから優勝はない。

 それでも、昨年の大会ではイングランド代表と38-38で引き分けるなど健闘を見せた。SHグレイグ・レイドローは代表から離れたが、2016年と2017年に2大会連続でMVPに輝いたFB(フルバック)スチュアート・ホッグやSOフィン・ラッセルなど、能力の高い選手も多い。今年こそ上位進出なるか。

 2000年に新たに加盟した「アズーリ」イタリア代表は、昨年の同大会で1勝もできなかった。2016年から指揮を執っていたアイルランド出身のコナー・オシェイHCがイングランド代表コーチとなったため、今大会は南アフリカ出身のフランコ・スミスが臨時ヘッドコーチとして采配を振るうことになった。

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