ベイスターズ激動の1年を収めた
ドキュメンタリー映像作品が公開 (4ページ目)
常に冷静にカメラをまわし続けてきた。チーム向けのモチベーションビデオの制作を筒香に依頼されれば、納得がいくまで意見を交わした。また、どんなに辛いシーンであっても、これが後に選手のためになるのだと自分に言い聞かせ、辻本監督はクリエーターとして心をフラットにしてカメラを向け続けてきた。
だが今シーズン、たった一度だけ自分の感情があふれてしまうことがあった。CS終了後、しばらく経って関係者に挨拶をする筒香が、辻本監督に近寄ってきてファインダー越しに語りかけた。
「今まで無理言ってごめんな......」
筒香とは、そういう男である。
来季9年目を迎えるDeNAに訪れた変化の時。圧倒的なリーダーシップと打力を誇った筒香が抜けることはチームにとってこれ以上ないダメージになることは間違いない。だが残された選手たちは、外から見ている人間以上にそれを実感しており、また自分がやらなければと覚悟を決めている。
筒香のいない新しい時代。
「彼らなら大丈夫です」
上映後の余韻、聞こえるはずのない筒香の声が、シアターに漂っているようだった。
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