ベイスターズ激動の1年を収めた
ドキュメンタリー映像作品が公開
チームに燦然と輝いていた"巨星"がその役割を終え、"流れ星"となり去り行く瞬間──。
3年ぶりにBクラスに転落した2018年シーズンから再起を賭けた今シーズン、横浜DeNAベイスターズは22年ぶりにリーグ2位となり、悲願の優勝への階段を着実に一段昇った。
そんなDeNAの1年間の激闘の裏側を克明に映し出した公式ドキュメンタリー映像作品『FOR REAL──戻らない瞬間、残されるもの。──』が12月20日から劇場公開される(2020年1月4日、DVD・Blu-ray発売)。
ポスティングでのメジャー移籍を表明し、レイズと合意に達したと報じられた筒香嘉智 前身の『ダグアウトの向こう』から数えて今回で第7弾となる本作だが、昨年に引き続き監督を務めたのは辻本和夫氏だ。撮影を始めて2年目の今シーズンは、選手や首脳陣たちに対し、以前にも増し踏み込んだ撮影が可能だったという。カメラを片手に選手たちを熱心に追う辻本監督の姿が、キャンプに始まりシーズンを通し常にチームの周辺にあった。
「グラウンドで撮影をするだけではなく、試合後に食事に出かけるなどプライベートの時間も共有する機会が増え、互いを知る機会を多く得たことで選手たちや関係者との距離が近くなりました。その意味からすると、昨年、撮ることのできなかったようなシーンも映像として残すことができたと思います」
昨シーズンの『FOR REAL』はBクラスだったこともあり、作品史上もっとも重いシーンの連続する映像となったが、今作は試合のシーンを中心に淡々と物語が紡がれている。
しかし決して単調というわけではなく、そのぶん試合の興奮や選手たちの言葉は生々しく、観る者のハートにダイレクトに伝わってくる。そして横浜市出身でチームのファンだという俳優ムロツヨシのナレーションが耳障りよく、胸に沁みていく。作品の構成について辻本監督は次のように語る。
「演出で見せるという方法論はあると思いますが、今回の作品はできるだけ素材の味を生かしたいと思いました。だからこそ過度の演出をすることなく、選手の想いやメッセージなど、選手たち本来の姿を見せることに集中しました」
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