サッカー界の「第3のブランド」に。GMが明かすニューバランスの戦略 (4ページ目)

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──おっしゃるとおりですね。おめでとうございます。では、ニューバランスのフットボール部門の話に戻りますが、2015年以前に再参入することはできなかったのでしょうか?

「それより前には、ニューバランスのサブブランドのウォリアーがリバプールなどとキット契約を結んでいました。ただし、世界規模でのマーケティングに苦しんでいるところがありました。世界的なビッグクラブであれば、その製品は世界中で買うことができるものでなければなりませんが、その点がウォリアーには困難でした。また、先ほども言いましたが、ニューバランスはライフスタイルのラインでとてもよい業績を上げていますが、ファッションには流行り廃りがあります。なので、これを機会にスポーツブランドとしてのニューバランスをしっかり築き上げようとしたのです」

フットボール事業GMのリチャード・ライト氏 photo by sportivaフットボール事業GMのリチャード・ライト氏 photo by sportiva──ウォリアーでの経験は生かされていることでしょう。

「もちろん。何事にも学ぶ時期は必要ですからね。ウォリアーはチームスポーツのブランド、ニューバランスは個人的なスポーツブランド、という位置付けでしたが、いまはニューバランスもチームスポーツに力を入れています」

──事業が始まってから、最も苦労された点といえば?

「スポーツのブランドビジネスにおいて、フットボールは最も競争の激しいカテゴリーです。ナイキ、アディダスという2大ブランドの存在はとてつもなく大きい。またアディダスは1927年、アンブロは1924年、プーマは1948年からと、彼らは長きにわたってフットボールに携わっており、これまでに培ってきたあらゆるノウハウが蓄積されています。そんな業界に、80年代後半から90年代までのわずかな期間にフットボール事業を営んでいたブランドがあらためて参入するわけですから、当然それはタフな試みとなります。それからコスト面では近年、選手たちとの契約には莫大な契約金が必要になってきています。それでもニューバランスは健全な経営を続けているし、世界的な認知度も高いですから、このチャレンジにふさわしい企業だと思っています」

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