サッカー界の「第3のブランド」に。GMが明かすニューバランスの戦略
2015年2月にサッカー界への進出を発表し、大きな話題を集めたニューバランス。現在、イングランドの名門・リバプールや、日本のサガン鳥栖らをサポートするなど存在感を高めているが、そのルーツは約30年前にあった。
その後、一度はこの世界から離れながら、再び歴史ある巨大ブランドとの戦いに身を置くことになったのはなぜか。今年9月に日本を訪れたフットボール事業GMを務めるリチャード・ライト氏に、その理由を直撃した。
リバプールをはじめ、セビージャなどとも契約を結ぶニューバランス photo by Getty Images***
──今回の来日の経緯から聞かせてもらえますか。
「リバプールのコマーシャルチームと一緒にアジアのマーケットを回っているんです。シンガポール、インドネシア、タイ、そして日本と。セールスに携わってくれている方たちに直接会ったり、フットボールの話をしたり。とてもいい出張になっていますよ」
──では、ニューバランスがサッカー事業に参入しようと思った理由を教えてくれますか。
「先にお伝えしておかなければならないのは、実は80年代後半にニューバランスはフットボールのブーツ(スパイク)を作っていたのです」
──元イングランド代表のブライアン・ロブソンも、当時は御社のシューズを使っていたと聞きました。
「その通り。その頃に稼働していた工場がイングランドのフリンビーにまだ残っているのです。2015年にあらためてフットボール事業に参入する際、当然そこも使うことになったのですが、面白いことに、およそ30年前に勤務していた工員がまだ4人も残っているんです。もちろん彼らは今、最新の技術を手にしており、最先端のシューズを作ってくれています。一般向けの製品は世界各地の工場で作られていますが、プロ選手用や最高級ラインの製品はここで作られているのです。製作の段階では、プロ選手を招いて、彼らの意見を聞きながら作っています。とても面白いですよ」
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