学生が「売り手市場の就職戦線を勝ち抜く法」とは...「なぜ御社の株価は30年前に比べて下がっているのですか?」 (5ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

逆に、信越化学工業という企業の株価を見てみようか。この会社、塩化ビニール製品の他、半導体の回路を書き込むシリコンウエハーをつくっている会社なんだけど、業績はピカピカ。1993年の株価は、安いところで278円だったのだけど、2023年6月20日の株価は4803円だからね。何と17倍にもなっているんだ。

このように、株価が長期にわたって値上がりしている会社は、売上や利益が着実に伸びているケースが多い。せっかく入社するなら、やはり成長し続けている会社に行きたいよね。就職活動とは、企業が学生の品定めをする場であるとともに、学生が企業を見極める場でもあるんだ。

財務諸表を見て、株価の長期推移をチェックするなんてことは、インターネットがあれば誰にでもできること。財務諸表の見方が難しいって思っている人もいると思うけど、売上と利益の伸びを見ていくだけなら、実は簡単なんだ。財務分析なんて、社会人としてはできるに越したことはないんだから、学生のうちに多少でも知識を身につけておくのは有意義だと思うよ」

奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。『マンガでわかるお金を増やす思考法』が発売中。

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