学生が「売り手市場の就職戦線を勝ち抜く法」とは...「なぜ御社の株価は30年前に比べて下がっているのですか?」 (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【「御社の株価はなぜ低い?」】

奥野「就職率の上下はこれからもあるだろうし、深刻な景気低迷が起これば、採用を絞る企業はあるだろうけど、基本的にこれからは売り手市場、つまり学生の立場が強くなっていくと思うな。

 なぜなら、若い働き手の人口がどんどん減っていくからだよ。若年労働力人口といって、15歳から34歳までの働ける人の人口は、2007年は2035万人だったのが、2022年は1657万人まで減っちゃった。1967年くらいまでさかのぼって、長期的に若年労働力人口の推移を見ると、だいたい1900万人から2200万人で推移しているから、1657万人というのは、いかにも少ないだろう。

 ということは、企業はひとりでも多くの優秀な人材を確保したいと思っているだろうから、鈴木君が言うように、とても就職しやすい環境が、これからは構造的に続いていく可能性が高まってきたのかもしれないね。

 じゃあ、由紀さんの質問にあるように、自分で納得のいく会社に入社するためには、どうすればいいのか。就職活動では、企業の人と接する機会がいろいろとある。インターンの機会もあるし、その会社に勤めている先輩を訪ねて話を聞く機会もあるだろう。もちろんリクルーターとの面接もある。そういう場を利用すべきだと思うよ。

 そして売り手市場のいまだからこそ、僕だったら、あえてその会社に勤めている先輩やリクルーターにとって耳の痛い質問をぶつけてみるかな。

 たとえば就職を希望している会社の財務を分析して、『なぜ御社の利益率は年々下がっているのですか?』とか、『なぜ御社の株価は30年前に比べてこれだけ下がっているのですか?』と質問してみる。

 株価の裏側には必ず売上と利益があるから、基本的に売上と利益が年々増えている会社の株価は上がるはずなんだ。つまり過去30年間くらいの株価を見て、全く値上がりしていないような会社は、企業価値が30年前も今も、ほとんど変わらないことになる。そんな会社に入りたいと思うかい?」

鈴木「うーん、入りたくないかも」
由紀「でも学生の分際で、そんなに痛いところを突くような質問をしたら、失礼だって思われませんか」

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