学生が「売り手市場の就職戦線を勝ち抜く法」とは...「なぜ御社の株価は30年前に比べて下がっているのですか?」

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(36)~先輩社員に何を聞く?

 昨年度から始まった高校生向けの投資教育。集英高校の家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生は、野球部の顧問も務めている。3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎は、練習が始まる前や練習後のちょっとした時間に、奥野先生から経済に関する話を聞くのが習慣のようになっている。「経済」とはいえ、社会の教科書に載っている知識ではなく、今後の自分たちの生活と密接につながっているテーマだから、興味が尽きないのだ。

 前回は、大学生の「就職人気企業ランキング」の話題を皮切に、どういう企業に就職するのがいいのか、話を聞いた。ふたりは、これまで先生から聞いてきた株式投資にも少し似ていると感じていた。

鈴木「会社を選ぶ、という意味では投資と同じですよね」
由紀「先生は『成長する会社がいい』とおっしゃってたけど、それも同じじゃない?」

 現在の高校生は、ほとんどが数年のうちに「就職」に直面する。その時に何をすればいいのか。これはリアルな問題だった。

鈴木「大学生になると就職セミナーがあったり、その会社に入社した先輩を訪ねて話を聞いたり、入社試験があったり、面接があったり。しかも、挙句の果てにそれで落とされちゃったりするわけでしょう。なんかタイへンそうだな」
由紀「そう言えば前回の最後、先生は『みんながやっている典型的な『就活』を疑うところからスタートしてもいいんじゃないかな』とおっしゃっていたけど、どういうことかしら?」

「鈴木君、入社試験で落とされることを心配してるのかな」と、奥野先生が会話に加わってきた。

鈴木「それはそうですよ」

奥野「少し前には、『100社ぐらいの試験を受けて全滅だった』なんて話が流布していたからね。実際そうなったら滅入るのはわかる。でも、実は企業と就活生の力関係も、変わりつつあるんだ」

由紀「力関係? どういうことですか」

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