学生が「売り手市場の就職戦線を勝ち抜く法」とは...「なぜ御社の株価は30年前に比べて下がっているのですか?」 (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【株価でわかるその企業の姿】

奥野「まず、由紀さんの質問に答えると、失礼なんて思わないだろうし、むしろ自分なりに財務分析をした結果で話をすれば、逆に『ああ、この学生は自分の目で会社を選ぼうとしているんだな』という評価につながって、むしろプラスになるんじゃないかな。

 それに、財務分析をしっかり行なったうえで就職活動に臨むような、優秀な学生だったら、企業側が放っておかないと思うよ。おそらく多くの学生は『内定を出してくれるなら何でもやります』なんてことを言ってしまうのもしれないけど、それじゃあ相手に足元を見られてしまう。

 その点、しっかり財務分析までして、しかも会社の痛いところを突いた質問をすれば、少なくとも大勢の学生のなかで強く印象づけられるんじゃないかな。

 もし、そういったファクトに基づいた質問に対して、不快な顔をするようなリクルーターがいるのなら、そもそもそういった会社については考え直したほうがいいだろうね。5年~10年以上その企業に勤めていて、自社が抱えている課題について考えていないような従業員がいるような企業はそのレベルの企業だし、そういった人をリクルーターとして前に出してくる感覚もどうかしてる。

 ちゃんと質問してくる優秀な人材を、『失礼な学生だな』などと言ってマイナスの評価をするような企業には未来はないし、そもそも構造的に若年労働力人口が年々、減少傾向をたどっているのだから、その程度の理由で優秀な人材を拒否するほどの余裕はほとんどないはずだよ。それだけ若年労働力の減少は、日本にとって深刻な問題になりつつあるんだ。

 あと、株価の話なんだけど、まずは過去30年くらいの株価を見てみよう。理由はさっきも言ったように、株価の裏側には、売上や利益の成長があるからだ。

 たとえば銀行。一例としてあるメガバンクの株価を例にとると、2000年の最安値が6830円で、最高値が9640円だった。今はどうかというと、2023年6月20日の終値が2116円だよ。プラスになるどころか大幅なマイナス。これだと、新たな付加価値を生み出しているとは考えにくい。

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