学生が「売り手市場の就職戦線を勝ち抜く法」とは...「なぜ御社の株価は30年前に比べて下がっているのですか?」 (2ページ目)
【売り手市場と買い手市場】
奥野「企業と就活生の力関係というのは、簡単に言うと就職しやすいかどうか、ということだね。よく売り手市場、買い手市場なんて言われる。
売り手市場は、商品やサービスを売る側にとって有利な状況のことを指しているんだけど、それは就職活動にもそのまま当てはまる。就職活動における売り手は、労働力を提供する学生だから、売り手市場というのは、学生が就職しやすい環境だということ。逆に買い手市場は、企業が採用しやすい局面だから、たとえば就職希望の学生数が非常に多いとか、あるいは景気がめちゃくちゃ悪くて新卒採用を大幅に絞っているとか、そういう状態を指すんだ。
ちょっと昔を振り返ってみると、過去の大卒就職率は、ITバブル前夜の1997年が94.5%で、ITバブルが崩壊した2000年には91.1%まで低下。そこから徐々に回復して、2008年には96.9%になったけど、リーマンショックが起こった2008年以降は低下し続けて、2011年には91.0%まで低下したんだ。
このように、就職率が大きく下がった時は、買い手市場になっているから、学生にとっては就職しにくい時期だということになるね。かつて『就職氷河期』と呼ばれた時期があって、一般的には1993年から2005年くらいまでの、就職難の時期を指しているんだけど、この時の大卒就職率は、2000年に91.1%まで落ち込んで、その後も、なかなか回復せず、2005年になっても93.5%までしか上がらなかったんだ。
では今はどうなのか、ということなんだけど、2020年の大卒就職率は98.0%まで上昇したんだ。これは完全な売り手市場、つまり学生の立場が強くて、ほとんど就職できる状態。で、2022年が95.8%まで低下したんだけど、2023年は97.3%まで戻している。
ちなみに、就職活動中の内定率を見ると、2023年卒の学生の2022年5月中旬時点の内定率が65.4%で、2024年卒の2023年5月中旬時点の内定率が72.1%だから、2024年卒の学生の就職率は、かなり高くなるんじゃないかな」
鈴木「ということは、結構、就職しやすそうですね」
由紀「ただ、入れればどこでもいいというのではなく、自分で納得のいく会社に就職したいですよね。どうすれば、そういう会社を見つけられるんだろう」
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