投資について学ぶ高校の野球部生徒の疑問。「就職して社長を目指す」と「起業して社長になる」のはどちらがいいのか (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【「労働者+資本家」という生き方】

奥野「資本主義への参加の仕方には3つあるんだ。労働者として参加する。資本家として参加する。『労働者+資本家』になる。この3つなんだけど、労働者から叩き上げて社長になったとしても、年収は2億円。かつ、そうなれる確率はめちゃくちゃ低い、ということなんだ。

 では、資本家になれるかと言ったら、もともとそういう家柄のお金持ちならともかく、普通は資本家になれるほどお金を持っているわけではないよね。

 そこで3つ目の選択肢である『労働者+資本家』ということになるんだけど、これが起業家なんだ。自分が企業オーナーであるのと同時に、自分の時間と才能のすべてを、自分の事業に注ぎ込んでビジネスを大きくする。それによって得られるアップサイドは、ファーストリテイリングの柳井さんではないけれども、非常に大きなものになる可能性があるんだ。

 なぜそうなれるのか。それはもちろん経営者としての視点、能力がすばらしいということもあるのかもしれないけど、世の中にはもっと優れた経営者だっているはずで、それにも関わらずウン兆円規模の資産を築けた最大の理由は、やっぱり株式を持っているからなんだよ。

 逆に、会社の株式をほぼ持たない『雇われ経営者』のままだと、どれだけ本人が優秀な経営者であったとしても、これだけの資産を築くことはできないだろうね」

由紀「株式を持つって大事なことなんですね」
鈴木「どれだけ優秀な社長でも、ただの雇われになるというのはちょっと驚き」

奥野「よく『プロ経営者』といって、会社の経営を立て直したり、成長させたりする目的で、外部から招聘される経営の専門家がいる。彼らは確かに優秀な経営者なんだけど、株を持っていなければ労働者と変わらないんだ。『労働者のなかでも経営能力に秀でた労働者』ってところかな。

 実は、これをよくわかっていない人が結構いるんだ。

 子供の頃、『大人になったら何になりたい?』と聞かれたことがあると思うんだけど、昔から男の子だったらスポーツ選手か社長と答えるケースが多かった。たぶん、子供の目からは、社長って何かトップに立っている偉い人ってイメージがあるんだろうね。

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