投資について学ぶ高校の野球部生徒の疑問。「就職して社長を目指す」と「起業して社長になる」のはどちらがいいのか (2ページ目)
【年収10億円の社長はごくわずか】
奥野「起業して経営を軌道に乗せることができれば、オーナー経営者としてケタ違いの収入が得られるのだけど、確かに鈴木君が言うように、それは『うまくいけば』の話であるのも事実なんだ。
でも、『うまくいかないかもしれない』という理由で、起業することを諦めるのは、今の時代ではあまりにももったいない。それは、前回もちょっと話したんだけど、起業して失敗した時のコストが、圧倒的に下がっているからなんだ。
昔の日本は重厚長大産業が中心だったから、大規模な工場を必要としたけれども、今は工場なんか持たなくても、アイデアひとつで世界と勝負できる。オフィスだって、シェアオフィスの時代だから、かなり家賃を抑えることができる。もし思惑が外れて撤退することになっても、大やけどをせずに済むのが今の時代なんだ。だから、どんどん起業したほうがいい。
多くの人が、企業に就職すると、一兵卒のヒラ社員から係長、課長、部長というようにステップアップしていく。大卒で順当に昇進できた人でも、おそらくここまでだろうね。部長の上である役員になれるのは、ほんのひと握りなんだ。ラッキーなことに役員まで行けたとしても、そこから社長になるには、さらに厳しい生存競争を生き残らなければならない。ちなみに大企業で社長になれる確率は、0.1%程度などとも言われているよ。
で、これだけ激烈な出世競争を勝ち抜いた結果、社長としてどの程度の収入が得られるのかというと、これは会社によってだいぶ差があるんだけど、有名な大企業で2億円から10億円。それも、10億円の年収をもらっている社長は本当にごくわずかで、多くは2億円前後かな。
でも、自分でビジネスを編み出して起業し、オーナー経営者としてビジネスに打ち込むと、とんでもない収入が得られる。経営者としての収入は、ひょっとしたら他の社長とそんなに大きく変わらないかもしれないけど、会社の株式を持っていた場合、その価値がとんでもないことになる。
ちなみにユニクロブランドを持つファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんが持っている資産の総額は、236億ドルと言われているから、これを1ドル=135円で円換算すると、3兆1860億円になる」
鈴木「......一生かけても絶対に使いきれない......」
由紀「そこ? でも、確かに起業してうまくいくと、とんでもないことになりそうですね」
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