テリー伊藤が語る『ダンス甲子園』誕生秘話。制服を着る条件にはこだわりがあった (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

 数ある企画のなかのひとつとしてスタートさせた『ダンス甲子園」は若者たちの熱量とともに、瞬く間にブームとなった。ちなみに『ダンス甲子園』の正式タイトルは、『高校生制服対抗ダンス甲子園』。ダンス用の衣装ではなく、制服を着る条件をつけたのは、テリー伊藤なりのこだわりがあった。

「制服をどう崩してダンス的に見せるか、それがいいなと思ったんですよ。女子高生は、ルーズソックスを履いたりとか、スカートを短くしたりとか、自分をどう魅力的に見せるかに関しては、天才ですよね。それに上はセーラー服や学ランを着て、下はジャージとか、そのミスマッチもかっこいいなと思ったんですよ」

 制服という条件を付けることによって、同世代の学生たちの心をつかみ、次々新しい高校生が出場。そのなかから、L.L.BROTHERSやメロリンQ、いまきた加藤など、高校生スターが誕生した。

 ちなみにメロリンQの愛称で親しまれ、現在政治家として活動する山本太郎は、水泳部という設定で競泳用パンツと水泳帽を着用し、ボディビルポーズとダンスを融合した奇妙な動きで、お茶の間の笑いを誘っていた。テリー伊藤は当時のブームを振り返る。

「当時出演した高校生は、僕らが思っていたよりも100倍くらいパワーがあったんじゃないかなと思います。だから制作側が何か仕掛けや工夫をしたわけではなくて、高校生たちが、自分たちの魅力を見つけて表現してきたんですよね。僕らは驚きのほうが大きかったですね」

 テリー伊藤はダンスが人々の心を引きつけるのは、「正直なところ、ダンスがうまいとモテるから」と考えている。「小学校の時は足が速いとモテる。それと同じで、ダンスがうまいというのは絶対的な正義なんですよ」と高校生たちが熱狂した理由を語る。

 あれからおよそ30年の時を経て、再びダンスに関わっているテリー伊藤。Dリーグも、あの頃と同じように、若者たちが自分たちの魅力やスタイルをダンスで表現している。その熱量を感じるにつれ、ダンスがさらに浸透してほしいと願うようになった。

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