井上尚弥は「領域展開」を使っている? いとこで漫画家・浩樹が『呪術廻戦』で紐解く王者の強さ (2ページ目)
【伏黒の領域展開は「鼻血もの」】
──どんな流れで漫画を描こうと?
「僕が現役時代からお世話になっている小説家の方がいるんですけど、一緒にご飯を食べている時に『君の人生を漫画にしたら面白いかもね』と言われたことがあって。その物語を描いてくれる漫画家を探してくれることになったんです。その後、候補がふたり見つかって、どちらの方も画のタッチが上手いので決めるのに1週間ほど悩んでいたんですが、小説家の方に『(悩むんだったら)自分で描いてみようか』と言われて。『あ、はい』と、急な展開で漫画家を目指すことになったんです。僕、言われたら断れないタイプなので(笑)」
──押しに弱いんですね(笑)。それまで漫画を描いた経験は?
「ありません。子どもの頃から模写することは得意だったんですけど、オリジナルを生み出すというのは経験がなくて。悩んでいた時、ハマっていた『呪術廻戦』を参考にしてみようと思ったんです。でも、いろんな描写を細かく見ながら参考にしようともがいたのですが、画のタッチを含めて何もかも次元が違いすぎて......。もう漫画家視点でこの作品を見るのはやめました(笑)。今は以前のように、いちファンとして追いかけています」
さまざまな角度から呪術廻戦の魅力を語ったこの記事に関連する写真を見る──そういった試行錯誤の繰り返しの末に、漫画『闘え! コウキくん』の誕生があったのですね。では、『呪術廻戦』のアニメの魅力はどこに感じますか?
「迫力ある演出や、綺麗な作画ですね。特に両面宿儺(りょうめんすくな)vs漏瑚(じょうご)のバトルシーン。ここの映像は衝撃的で、『制作側の力が入っているな』というのが伝わってきました。なので、尚弥の弟・拓真に『このシーンだけでいいから見てくれ』と勧めたら、めちゃくちゃ好評で作品にハマってくれて。尚弥は僕の言うことを聞いてくれないので、勧めていませんが(笑)。
あとは伏黒 恵(ふしぐろ・めぐみ)が領域展開『嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)』を発動するシーンは鼻血ものでした。未完成なのに出しちゃう、みたいなところがたまらないです。伏黒は"不器用カッコいい"感じが好きなんですけど、『呪胎戴天(じゅたいたいてん)編』で宿儺に呪術師としてのポテンシャルの高さを見抜かれたじゃないですか。僕はそういう、実は潜在能力を秘めてますっていうキャラクターが大好きなんですよ。少し"中二病"みたいなところがあるので、なんかこう......疼いてくるというか(笑)」
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